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沖縄の基地問題など、国防を考える3

  芦川淳 氏 

基地があることが沖縄の利益になる側面も

 ジャーナリスト 芦川 淳氏

運営者 霞が関の官僚には滅茶苦茶嫌われていた平野元官房長官ですが、ホワイトビーチ沖案を押し進めてたんですよね。それをダメにしちゃったのは鳩山首相で。

芦川  ええ、そうですね。ホワイトビーチ沖案については、周辺情況も含めてきちんとした評価をどこのマスコミもやってないですね。地元の反対にしたって、いま現在、地元となる島を揺るがしている政治問題は、基地移設問題ではなかったりしますよ。

運営者 なんでも小学校がなくなるとか?

芦川  そうそう、学校の統廃合問題なんです。これも行けば分かるんですが、島まで4.7kmもある長い長い橋がかかっていて、それを海中道路って言うんですが、それの行き着いたところにある島の小中学校が本島に統廃合されてしまうと、沖縄本島まで橋をわたって通学しなければならなくなってしまいます。
 結局は予算的な問題になんでしょうけど、仮に基地がここに来るとなれば、学校の統廃合問題はすぐに解決するでしょうね。

運営者 ちょうどよかったじゃないですか。

芦川  この近辺には、海中道路の橋以外に奥比嘉島に渡る橋もあるんですが、これらの橋はやはり石油備蓄基地の事業があったからこそ出来たものですね。

運営者 そうそう、確かバーターでしたよね。かなり昔の話ですよ。

芦川  建設費は20億円かかったそうです。奥比嘉島の南東沖合にはおいしいニンジンで知られる津堅島がありますが、そこの方々は日頃から本土へ渡るための橋の設置を要望しています。ところが海底が若干深くなるので、到底、平安座島と奥比嘉島を結ぶ橋をかけた金額では無理です。これにしても、米軍基地ができればそこへのアクセスするための共用道路として現実味が出てくるでしょう。
 個人的には、この案は、行き詰まってしまった普天間基地移設を救う案だと考えています。もちろんそれは国内への設置という話に限りますが、これほど市街地から遠いし、レイアウトがしやすい場所はないと思うんですね。

運営者 そういう解決策を鳩山さんは潰してしまいました。その時はまだ「県外に移設できる」と盲信していて・・・

芦川  国民、いや沖縄の方々にとっての危急かつ速やかに解決しなければ課題は、普天間基地が沖縄県民に与えている危険を直ちに除去できるかということなんです。
 しかし県外移設については、相手のニーズとまったくと言っていいほど合致しないから、もともとの発想からして無理がありすぎる。沖縄に海兵隊の司令部もあるし後方支援基地もある。これを沖縄から移転するとなると、リアル度は極端に下がることになります。司令部機能の一部が移転するグアムぐらいがやっと交渉できるレベルですね。

運営者 政府間の約束ですからね。

芦川  ですから、沖縄の方には申し訳ないんですけれど、「海兵隊の基地が沖縄にあることが、沖縄のみなさんの利益になりますから、容認してください」ということになるわけです。
 見る角度を少し変えた話になりますが、確かに沖縄に米軍基地があることによって事件や事故は起こっています。だけど別に沖縄県のタクシー強盗や殺人事件はすべてアメリカ兵が起こしているわけじゃないんですよ。こんなこと当たり前の話ですよね? 
 これを言っちゃうと沖縄の方々に怒られそうですが、県で起きている人口あたりの粗暴犯罪の数は他県を凌駕する数ですよ。それは米軍の犯罪ではなくて、一般の県民の人々ですよ。那覇のど真ん中を暴走族が走っていたりするし。

運営者 いわゆる不良外国人がやらかしている犯罪比率と、日本人による犯罪発生率を比べてほしいものです。

芦川  沖縄は戦後、長い時間をかけて、米軍の犯罪への対処法を編み出し、やっといまのコントロールの効く状態になりました。それを利用しなくてどうするんでしょう。地位協定の運用法も弾力的になってきましたし、米軍側も兵士の犯罪を減らすことに積極的に努力している。もう占領時代は遠くなったはずだと思うのですが。
 それと、ときどき沖縄での報道を見ていて気になるのですが、日本中で沖縄だけが米軍の被害を受けているようにも取られかねない一方的な見方が多いんですよ。東京だって米兵が大暴れして、病院一個まるごとレイプみたいな事件が終戦後にはありましたし、不良外国人が渋谷警察署を襲って焼き討ちし、警官に死者が出るような事件も多々ありました。同じような被害を受けてきたことをもう少ししっかり伝えて欲しいですよね。渋谷って、あの109のある渋谷ですからね。
 それに東京大空襲でも、非戦闘員が一晩に10万人も亡くなっています。地上戦こそ沖縄は経験しましたが、本土の人たちも等しく戦争被害にあっていて、のうのうと暮らしていたわけではありません。またレイプや虐殺などの悲惨さや残虐さで言えば、満州や半島から逃げて来た人たちが体験したことだって凄まじいものだったと思います。

運営者 うん、ですからね、沖縄戦でなくなった人も、広島長崎の犠牲者も、東京大空襲の犠牲者の間にも、なんの格差もありません。同じく、「戦争でなくなった非戦闘員」なんです。
 戦争ですからね、なんでもありですよ。ましてや原爆なんて、まったく新しい概念なんですから。それが実験であろうとどうであろうと、「戦争による非戦闘員の死」という意味ではまったく同等です。
 それをどうこう言ってもしかたないじゃないですか。未来志向というのは、戦争を乗り越え、戦争によって築かれた新しい関係をどう発展させていくかということであって、そこでごねるのではなくて、真剣に国益を考えることが、死んでいった人たちの本意に応えるものなのだと、わたしは信じていますよ。

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