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沖縄の基地問題など、国防を考える3

  芦川淳 氏 

最大の失敗は「キャンプシュワブ陸上案」

ジャーナリスト
芦川 淳氏

運営者 大変残念ながら、大方の日本人の期待を裏切って、民主党政権は普天間基地移転問題の5月末決着を実行することはできませんでした。鳩山さんの言う「腹案」なるものは出てこなかったし・・・。

芦川  腹案って現行案うっちゃりだったんじゃないですか(笑)。まあ、戻ったのは現行案といいつつも、大減点のミソがついてしまった現行案ですからね。

  • 運営者 そういうことだったのか。だけど覆水盆に返らずで、今さら辺野古沖に基地をつくるのはむつかしくなってしまいました。ところで沖縄のたちはこの問題をどのように受けとっているのかについて、ここ数年ずっと沖縄に足を運んできた芦川さんに伺いたいんです。

芦川  今回の基地移設騒ぎの中で鳩山政権が最もやってはならないことをやった瞬間があって、それは代替案として「キャンプシュワブ陸上案」を出してしまったときなんです。
 これには非常にまずい点があって、騒音問題が拡大化するだけでなく、辺野古弾薬庫の上に飛行線がかかる恐れがあります。これは米軍側がまず容認できない。そんな重要なことを勘案もせず提案してしまうところが稚拙さを通り越して・・・・。
 現行案を作るまでにはいろいろな紆余曲折があって、海上に飛行場を作るとなると環境アセスメントを始め、クリアしなければならない課題が多くになります。また辺野古の沖合の水深も工事に大きく関係しますが、それらへの論議を経て沿岸部の埋め立て案に落ち着いたわけです。
 ところが、そのまま普通に作ると大浦湾を挟んだところにある、某航空会社系のリゾートホテルに飛行経路がかかってしまうんです。やっぱりこれもダメ。

運営者 なるほど。


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芦川  それで、そこを避けるように滑走路の向きを設定すると、避けたはずの辺野古や松田といった地区の上を飛行機が飛ぶことになる。それを知った件の地域の皆さんから「それじゃ騒音問題が起きるじゃないか」という反対意見が相次ぎ、結果的に出たのがV字案滑走路なんです。

運営者 離陸と着陸の進入方向を変えることによって、市街地上を通らなくするという解決策ですよね。

芦川  一般的に風向きの変化に対応するだけならX字型にするんですけど、この場合は離着陸の方向ですからね。V字型だと滑走路と滑走路の内側がデッドスペースになってなにかと効率悪いんですよ、工事もやりにくいだろうし。

運営者 じゃあX字型の滑走路ってたくさんあるんですか?

芦川  それはもちろん世界中にいくらでもありますよ。ただ、もしハナっから滑走路2本という話で計画が進んでいたら、十字じゃなくて平行2本の滑走路になったんでしょうけど、辺野古の場合は1本を2本に分けたという形ですからね。騒音問題や安全性の確保、海兵隊側のニーズといったものを、練りに練ってぎりぎりの許容範囲でV字型案に落ち着いたわけです。本件の場合は、滑走路は1本であることが望ましいのは当然です。だからV字案というのは総論賛成各論反対で知られる彼の地が生んだ苦肉中の苦肉の策であるわけですよ。

運営者 そうやって妥協に妥協を重ねて、針の穴に糸を通すようにして出来上がったのが現行案ということですね。

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