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中国軍が石垣島に侵攻するチャンスは来る

ジャーナリスト 芦川淳 氏

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運営者 そうすると、この状況に追い込まれた中国にとっては、対外戦争すること自体に政治的な意味があるわけですから、当然ながら欲しいのは台湾だと思うのですが、その前哨戦としてとりあえず、台湾の東側にある日本の小さな島を奪って、そこに兵力を置き、制空権を確保するというのが、空母をのこのこ台湾海峡で入れて撃沈されるよりは、よほど賢いやり方だと言えそうですね。

芦川 その通りです。台湾にとっていちばんまずいのは、西を指向していた守りの壁をバックサイドからひっくり返されることなんですよ。花蓮や台南の基地は台湾防衛にとっての生命線ですから、それを直に脅かされる状況というのが一番まずい。
 だから中国は、その台湾のアキレス腱を狙う、つまり台湾のすぐに東にあって、日本の西端にある先島諸島を狙うことを想定しているとして、警戒しなければなりません。石垣島や与那国島といった先島の島々は、台湾中心の地図で見ればわかるように、沖縄というよりまるで台湾の諸島という感じにすら見えますね。
 
運営者 与那国島の人たちも、台湾と密貿易してるみたいじゃないですか(笑)。

芦川 ははは、そうですね(笑)。戦後オキナワには台湾との密貿易で財を成したという武勇伝が多いですよね。結局、あの辺は、もともと台湾の一部として扱われていた経緯もあります。だから沖縄、琉球よりも、むしろ台湾の勢力圏内にあったというのが本当です。

運営者 薩摩藩が攻めていってムリヤリ帰属させたんですよね。

芦川 その前に琉球を統一した中山王が、先島諸島を武力鎮圧して王国に組み入れていますけどね。薩摩藩は、確かに琉球を事実上の支配下においていましたが、琉球王朝は大陸とも二叉かけていましたからね。
 当時の役人の登用試験に「薩摩藩から、紋の入った中国モノの反物を仕立てる注文を受けたが、これをどうやってうまく処理するか」なんてなんていう問題が出ていたぐらいです。琉球からしたら、薩摩と通じていることが清にバレると面倒なので、これは問題になるわけですね。
 そんな余談はさておき、それで、中国が台湾を攻めようとした場合は、まず沖縄の米軍がどこまでしゃしゃり出てくるか、ということを最大の懸念材料と考えるはずです。これ抜きでは動きません。米軍は? 自衛隊は? これが中国にとってはギャンブルになるわけです。

運営者 だけどそれをやるときは、中国政府も国内でケツに火がついてるわけです。だから「これはいかなる犠牲を払ってでも台湾を攻めるしかない」と中南海が決断した場合という想定ですね。
 そうするとですよ、例えばですが、米国が動けないような事態が起きていて、その機を狙って、中国が先島諸島侵略を狙ってきたら、どういうことが起きるのでしょうか?
 
芦川 非常にするどい疑問ですよ。朝鮮戦争も、湾岸戦争もそうでした。米国の発したサインを読み間違えるところから戦端が開かれています。これから起こりうる出来事に対して、米国が関与しない、あるいは米国が関与したくとも難しい、それは技術的な問題とか政治的な問題とか様々でしょうが、そういったきっかけを信管として、事態が爆発する可能性が大いにあります。
 それをもっとも現実的な目でみれば、次の朝鮮戦争、正確には朝鮮動乱ですが、それが起きて拡大傾向となったときに、中国による台湾侵攻があって、その余波として先島が狙われる可能性は十分にあると考えて良いでしょう。

運営者 それに対して自衛隊はなにもできないんですか?

芦川 そこが問題なんですよ。自衛戦争をするにしても、自衛隊が単独で動くのは制度面でも編成面でも問題が山積みです。はっきり言っていつもカツカツの状態でやっている自衛隊にとって、同時に2方面でコトが起きたら思い通りの対処はまず無理だと思ったほうがいいでしょう。
 つまり、朝鮮半島ですでに戦争が起きている情況では、自衛隊がそれに巻き込まれている可能性が高く、そのため、他国から別の角度でちょっかいを出されたときの対応力が極端に落ちてしまうのです。
 次の朝鮮戦争があれば、米国は当然ながら国連軍として戦闘を主導するでしょう。そして日本は、当然ながらその支援のための協力を求められるでしょうね。周辺事態法の発動いかんによっては、自衛隊による米軍への弾薬補給や、日本への脱出者の輸送支援など、多くの出番が控えることになります。燃料弾薬の補給作業は米国も多いに期待しているでしょうね。

運営者 逆でしょう(笑)。自衛隊の燃料弾薬がなくなったときに、米軍が融通してくれないと。

芦川 まあ日米安全保障条約は、現在では世界でも稀に見る不平等条約ですからね。日本がやられたら米国は日本を守るけど、その逆はスルーですよ。米国からしたら、こんなに損な条約はないです。周辺事態法っていうのは、例の思いやり予算と併せて、その米国から見た不平等をどう解消するかのキーですからね。


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