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中国軍機は30分しか台湾上空にいられない

ジャーナリスト 芦川淳 氏

16.JPG教育参考館。「教育」といいつつ、ある種、戦没者に対する信仰の匂いをまとっていることに違和感を覚えました。

芦川 中国には数隻の空母を建造しているようですが、いくら空母があっても航空優勢が確保できなければ意味がありません。
 揚陸艦をたくさん持っていて、台湾に軍隊を上陸させたとしても、空からの脅威があれば補給線を維持できないし、上陸した部隊も同様に空から叩かれてアウト。現代戦においては、この航空優勢の確保が必要不可欠です。
 
運営者 なるほど。
 
芦川 そうすると、仮に大陸から戦闘機を飛ばして味方部隊のエアカバーをしようとしても、台湾上空での滞空時間が短いので効果を発揮できない。悠長に飛んでいていいわけはなくて、当然、戦闘機動をしますから燃費は悪くなっちゃいます。大陸から飛来した中国機が台湾上空にいられる時間は、せいぜいもって30分っていうこところでしょうか。
 この余裕のなさは、ともすれば台湾防空網の餌食になってしまうわけで、台湾空軍機とドッグファイトをしても燃料切れでまともな戦闘は難しい。隙を見せれば地対空ミサイルの餌食です。
 台湾側にすれば、大陸から3〜400キロ飛んできた戦闘機を、台湾上空に誘い込んで張り付ければ良いので作戦は効率的です。迎撃して燃料切れに追い込めばいいし、これってバトル・オブ・ブリテンそのものですよ。地対空ミサイルのパトリオットだってある。
 上陸する中国軍側が欲しいのは、CAS(クローズ・エア・サポート)といって、戦闘中にその前線の200メートル先に支援爆撃を行ってもらうことなんですが、航空優勢が確保されていなければそれは無理です。戦闘機による護衛がつかないんじゃ、爆装した攻撃機はいいカモになっちゃいますね。

運営者 30分しか台湾上空にいられないのでは、ひじょーにキビシーですね。

芦川 そうそう、まともな戦闘はできません。反復攻撃するにしても効率が悪すぎて、結局のところ台湾はチェスで言うところの、スティルメイトに持ち込めばいいだけですから有利ですよね。

運営者 それ以上駒を動かせないので、不利な側が勝てないけど負けてないという状態に持ち込むやつですか。だけど戦闘機や攻撃機よりも大きな航空機だったら航続距離が長いんじゃないですか。

芦川 確かに航続距離はありますけど、鈍足だから叩かれますよ。一般的にデカいと足も遅くなるし、レーダーの反射面積も増大するので、ミサイルもよく当たるはずです。果たして何機が目標までたどり着けるかどうか。

運営者 ああそうか。台湾は対空ミサイルいっぱい持ってるでしょうから。

芦川 中国が航空優勢を確保するためには、緒戦で台湾の航空兵力をできるだけ叩く必要があります。具体的には台湾の航空基地を弾道ミサイルで叩くことになりますが、これの効果はハッキリ言って微妙です。多少の攻撃では、基地はすぐに復旧されるでしょうし、台湾側はミサイルの攻撃に耐える掩蔽壕を用意するなど、航空機を温存する秘策をとってくるでしょう
 。そう考えると、中国が台湾を攻撃するのは実は大変なことで、絶対に勝つという覚悟と労力がいります。
 
運営者 そうすると中国空軍の能力向上がどういったペースなのかが気になりますね。いわゆる第四世代以降の戦闘機が400機とかなり近代化が進んでいるみたいですね。台湾の戦闘機はF16が150機、ミラージュ2000が60機、F16ベースの国産戦闘機が100機以上と、なかなか頑張ってます。
 
芦川 中国版Su-27の存在と着々と進む配備は台湾にとって脅威かもしれませんが、どんなに航空機が高性能化していても、燃料がなければ、飛んできて攻撃して帰れません。Su-27は長い航続距離を持ちますが、それでも空対空ミサイルと地上攻撃できるような兵装をフルに搭載したら、その足の長さも活かし切れないままになります。
 あと、Su-27にはライセンス生産した正規版と、ロシアに断り無く「オリジナルだ」と言い張って作っている海賊版があるんですが、2010年以降はこの海賊版の生産が主力になります。でもこれがまた性能というか、製品としての出来に問題が出ているみたいで、軍がメーカーからの引き取りを拒否したりしています。

運営者 ロシアともめてるんですよね。日本の新幹線パクって外国に売ってるのと一緒だな。
 ということは、中国空軍の航空機の数だけ見ると「大変だ」という話になるのですが、どうやら台湾にとっては、そう脅威でもないということですね。


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