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まず半島で戦争を起こす、次に台湾を

ジャーナリスト 芦川淳 氏

14.JPG東郷元帥の書

運営者 つまり日中中間線を中国側が超えるということは、彼らにしてみれば現在の戦力では対処できないような状況をもたらしてしまうというのが現状なわけですね。

芦川 その通りです。中国側もそれは望んでいませんし、できないことだと思います。博打にしては分が悪すぎですよ。
 中国にとっては、完全な勝利以外は負けと同じです。引き下がった、逃げた、敵の日本に退けられた、どれをとっても軍は国民の信頼を失い、ネガティブな方向で進むキッカケになっていまいます。

運営者 今のところはそうでしょうが、それでも中国が、「いや、これは直接武力衝突が起きたとしても日本を侵略せざるを得ない」というような考え方に至るためには、何が必要条件としてあるのでしょうか?

芦川 侵略の度合いによっていろいろあります。ただ、この東シナ海の話ということなら、日本側が楠(中国名:断橋)ガス田の採掘を始めると、大きな火種になると思います。日本側は、以前から日中中間線を挟んで数キロのところで採掘を始めた、天外天や春暁について「油脈が繋がっとる、どうしてくれるんじゃ」とクレームをつけています。
 私はこれをアホだなあと見ていましたが、逆に日本が採掘をしたときにそれをやられる可能性があります。中国はそれ、と言わんばかりに「我が国の権益を侵された」と文句をつけてくるでしょうし、それは中共政府が飢える10億の民の不満をうまくコントロールしなければならないからです。

運営者 それって、おかしな話ですよねえ(笑)。

芦川 うん、まったくもっておかしな話です。
 日本側にしてみれば「そもそも何が悪いんだ」という話なのですが、逆に中国からみれば日中中間線こそ中国の主張するEEZから大きく大陸側に後退していて、これに配慮していると思われること自体が国内政治的には負けてます。中国の国民感情は、日中中間線こそ嘘っぱちで、沖縄トラフの縁までが大陸棚、つまりウチのEEZだと思っているわけです。 だから日中中間線という微妙な海域を日本が開発して、ガスを組み上げ始めたら、中国の態度は一気に硬化すると思いますよ。
 いま中国政府の態度はあくまでも共同開発にこだわる姿勢ですけど、これにしても「日本の支援で中国がやっている開発」という形にしたがっています。要するに、日本にはガスを分けてあげましょう、だからお金を出してね、ということです。これこそ国内に向けてのポーズですよ。
 
運営者 でも実際には日本はそれをやらないですよ。コストが高すぎて割に合いませんから。だけどこういう考え方もありますね、中国の国内状況を見ながら、あるいは緒外国との対中国の協調関係を考えつつ、日本側の経済水域を掘削することで中国政府を挑発することもできるわけだ。
 
芦川 そうです。掘削することを表明するだけでも、その影響は大きいと考えます。特に中国からしてみれば、足元に薪をくべるようなやり方ですから、こめかみがピキピキ来てもしようがない。
 これも例えばの話ですが、もし中国を内戦状態にもっていきたいという長期的な戦略を組むとしたら、今すぐ「日本は日本側のガス田に掘削リグを作る」と表明、いや実行に移せば効果は大だと思いますよ。しかも国際常識的にはなんら問題がないとされる、同じ油脈からの組み上げをジャンジャンやっちゃう。これに怒ったのはフセインで、次に怒るのは中共政府ということですよ。

運営者 そうすると中国内で反日デモが頻発しますな。

芦川 いまの中国だと、その反日デモがなぜか反政府デモになるんですけどね(笑)。
 それから「尖閣諸島を台湾と共同開発する」といえばさらに効果的でしょう。台湾の名が出てきたときに、中国は顔を真っ赤にして反応すると思いますよ。

運営者 共同統治でいいと思いますね。「アメリカもそれでいいと言ってるよ」と(笑)。
 
芦川 そこまで行けば、中国の世論はどこに向かえばいいかわからなくなるでしょう。そうすると不満のはけ口は政府に向かうしかなくなるので、大騒ぎになります。

運営者 まったくそう思いますね。

芦川 だけどそういうやり方は、日本人からみればナンセンスで卑怯な雰囲気もある。それに、日本政府は、そういう工作が子供じみて下手くそなので無理でしょうね(笑)。

運営者 (笑) 明石元二郎あたりがやってた工作をもっと研究してほしいものです。


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