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緊張が高まれば中国は「虎の子」の空母を出せない

ジャーナリスト 芦川淳 氏

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運営者 随分中国の潜水艦も性能をあげているみたいですが。

芦川 上げてはいるのですが、やはりソ連時代に輸入したものから少しずつ技術を高めていって、やっと国産化に成功したというレベルから、まだそう発展していません。
 金にあかせて最新の技術を外国から導入しようと躍起になってますが、要するにそれらを消化できていない。まだまだ自分のものにできていないという状態だと考えていいでしょう。

運営者 それで、問題海域を先読みして先に行って底に沈んでいる潜水艦は、軍事衝突が起きたら、何をするんですか?

芦川 まずは監視活動ですね。高みの見物ではなく、深みからの見物。現場にそっと入ってそっと出るのは潜水艦の得意技ですから。相手の艦艇を数えたり、出張ってくる潜水艦の音紋を採集したりと、仕事は多いはずです。で、もっとも重要なのが、いざというときの保険です。搭載された魚雷や対艦ミサイルを使って必殺の一撃をかますわけです。
 仮にですよ、中国が意気揚々と空母を持って出てきたら、いまずっと話をしてきているような、なし崩し有事なら、その空母を沈めにかかるかもしれません。虎の子である空母を失ったら、相手は一気に戦意喪失へと傾くでしょう。それぐらい高価値の目標です。
 潜水艦が魚雷を撃ったらこちらの位置がわかってしまうので、その後逃げのびるのはもう大変なはずです。ただ、空母みたいな大型艦が損傷を負った状態になると、味方の救助や捜索、警戒活動で付近の海面が大騒ぎになるので、水中の雑音が激しすぎて逃げ切れる可能性はありそうですね。

運営者 ということは護衛艦くらまクラスを沈められたら、中国の2012年だかに就航する空母を沈めても構わないわけですね。まあすぐには配属されないでしょうが。
 
芦川 そんなに空母を沈めたいんですか(笑) もちろん前提になるのは、戦域が限定された形での「なし崩し有事」の場合です。それでも、中国は内心は臆病な国ですから、空母がまだ貴重なうちは出してこないと思いますけどね。実用化にしたって、まだ少なくとも5年はかかるでしょうし、戦列に加わってまともな運用ができるまでに、さらに5年はかかると思います。
 そのペースを上回るように無理をしちゃうと、大戦中の日本海軍と同じ発想になってしまって、価値の高い艦船は出せなくなっちゃうんです。空母は金食い虫ですからね。作るのも維持するのも使うのにもお金がかかるんですよ。

運営者 ということは、日本の近海での緊張が高まったとしても、実際には中国海軍の主力部隊は出てこないってことですか? つまり中国海軍のまともな艦艇を内陸に封じ込めてしまうかもしれないというわけですね。

芦川 そうです。中国は政治的理由から尖閣を、経済的理由から沖縄沖の海底ガス田をゲットしたいと考えているわけですが、緊張度が高まりすぎてしまうと、実は中国海軍にとって失うものが大きいかもしれず、おいそれとは動けなくなっちゃうんですね。
 だから、それを逆に読むと、日中での戦力が直接対峙するような状態は、実はそう可能性は高くないのではないかと考えられるんですよ。損得で言ったら、絶対に中国の損になると思うんですよね。これまでの中国の動きを見ても、中国が日中の中間線をあからさまに超えてガス田を開発していないこともこの説を助けると思います。
 
運営者 つまり日中中間線を中国側が超えるということは、彼らにしてみれば現在の戦力では対処できないような状況をもたらしてしまうというのが現状なわけですね。


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