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護衛艦くらま撃沈、200名死傷

ジャーナリスト 芦川淳 氏

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芦川 そうです。その間合いが合わないと攻撃できないわけです。だから海上自衛隊側としては、中国側の艦船がどのような能力を持っているかということと、現場の情報を常に比較しつつ、相手の戦力を類推することが重要になります。
 「あの船は40キロ先の目標を評定することができる」とか、「ヘリを飛ばしていたらそのヘリの80キロ先まで撃てる可能性がある」といった具合です。そしてその場合は、80キロ圏内に入ったらいつでもミサイルが飛んでくる可能性があるということです。
 しかもこちらのヘリが故障していて飛ばせない状況であったりしたら、敵は80キロカバーしていて、こちらはできないわけですから、いつやられてもおかしくはありません。

運営者 それを護衛艦の艦長は意識して行動してるんですね。

芦川 ええ、確かに中国は日本とは友好関係にありますが、これまでの軍事力の行使のしかたを見れば、いつでも情況が変化するということを想定しておく必要があるでしょう。それを踏まえて考えれば、敵が艦載の哨戒ヘリを持っていることがわかっていれば、その想定される攻撃可能エリアの範囲に入ること自体が危険な行為ということになります。
 それで、自衛隊の場合は、「もし敵が攻撃してきた場合には、相手と刺し違えてでも一矢報いる」というような考え方はしません。まずは安全な範囲にいること、それが出来ない場合は「もし相手が先制攻撃してきたら、それからどうやって防禦するか」をまず考えます。
 相手からの攻撃があれば、レーダー監視の目に、高度200メートルぐらいの低空を音速で飛んでくる高速飛行物体が捉えられるでしょうから・・・

運営者 どう見てもミサイルですよね。

芦川 先手必勝を狙えば自軍の損害を軽くできる可能性が高まりますから、最初からミサイルでしょうね。
 運良く余裕ある距離でその対艦ミサイルを見つけることができれば、防空システムがミサイルを撃ち落とすため反応するでしょう。それで、まずは対空ミサイルを撃ちます。次に艦砲、それでも取り逃がしたらミサイル迎撃用の機関砲で撃ち落とそうとします。これとあわせて電波的な妨害もやります。
 でも、これがアメリカ海軍、というか他の海軍もそうですが、相手が撃ってきた瞬間に相手に撃ち返すでしょう。なんたって、相手は防御に成功されると困るので、もう一発を撃つでしょうから、そのチャンスを与えるべきじゃないです。こちらはと言うと、もし第1波で被弾してしまうと大変な混乱状況になって、第2波への対処能力が著しく低下してしまうので、やっぱり相手に次弾を撃たせてはいけないです。

運営者 当たり前のことだと思うんですけれど、なぜ自衛隊はそうしないんですか?

芦川 法的に縛られているからと言えばいいですかね。政府の解釈も手伝って「こちらが被害を受けなければ、撃ち返すことはできない」ということになっていますから。
 相手が撃った時点でこちらが撃ち返すとして、それが相手にとって致命傷になれば、過剰防衛に問われかねないという懸念もあると思います。実際にはそんなことを言ってる場合ではないんですが、被害の大きさは「自分>相手」のような考え方があって、こちら側に死人が出るような攻撃を受けて始めて、こちらは相手を無力化しようとするわけですよ。

運営者 うーん、そうですか、今のところは致し方ないんですか? ちょっと教えて欲しいんですが、例えば「くらま」のような護衛艦では何人くらい乗員が載っていますか

芦川 だいたい200人前後ですね。

運営者 そうすると、中国の対艦ミサイルが1発命中すると、そのうち何人くらいの人が死傷するでしょうか

芦川 低く見積もっても十数人、艦が撃沈されるような事態になれば、半数の命が失われるのは必至かと思いますよ。

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