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護衛艦は一発お見舞いされるまで応戦できない

ジャーナリスト 芦川淳 氏

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運営者 砲塔をこっちに向けてロックオンしているだけではダメなんですか。

芦川 国際法的には、照準用のレーザー光線を照射されただけでも攻撃行為とみなすと解釈されているようですが、日本の場合はレーダー照準でロックオンされても反撃しないと思います。
 応戦するためには、まず相手側の射撃によって自分の側に危害が加えられたことが条件になってしまいますね。
 自衛隊法的には武器防護規定というのがあって、武器が奪われそうになったり、操作員が被害を受けそうになったときには武器の使用が出来たりするのですが、「パイレーツオブカリビアン」じゃあるまいし、海上じゃそんなことはまずありえないでしょう。

運営者 そうすると、中国側の艦船が攻撃の意思を固めた時に、その艦船が護衛艦を沈める能力を持っていたならば、護衛艦はおだぶつであるということですね(汗)。

芦川 そうです。ハッキリいって、有事下でなければ自衛隊が応戦するためには、犠牲が必要になります。
 つまりおうおうにして、日本側は相手側の奇襲攻撃に対処できない可能性が高いのです。

運営者 何事も人柱が必要であるというのは、交通事故が起こらないと交差点に信号機が設置されないような話で、日本では普通のことなのですが、それでは中国側の艦船が海上自衛隊の護衛艦を1発で沈めたり、作戦能力を回復しがたいようなダメージを与える能力を持っているかどうかが問題なのですが。

芦川 その能力はあります。残念ながら、今の海上艦艇というのは1発でも砲弾なりミサイルを食らったら甚大なダメージを受けますし、それで撃沈される可能性もあります。
 特に潜水艦の持っている魚雷の破壊力は凄まじいですね。護衛艦クラスのサイズの戦闘艦でも真っ二つに折れるぐらいの威力があります。それでいくとあの韓国の警備艦撃沈事件で使われた魚雷は、短い魚雷と推測できるわけなんですが。

運営者 なるほど、そうですよねえ、昔の戦艦と違って装甲が薄いですから。

芦川 戦艦大和のように、「自分の主砲が当たっても沈まない装甲にする」という設計思想ではありません。言い方が悪いですが、どの艦もペラペラですよ。

運営者 昔は戦車もそういう考え方で作っていたわけですが。

芦川 戦車はいまでもそうですよ。でも、艦艇は別です。小型の艦に高性能な武装を搭載するのが、大戦後の主流ですから。

運営者 もちろん自衛隊も艦隊を組んで行っていると思うのですが、中国海軍がそうしたファーストストライクの能力を持っているとして、それに対する防禦能力はあるでしょうか。

芦川 あるといえばある、ないといえばない(笑)
 海上自衛隊の艦艇にはさまざまな防御手段が整ってはいます。でもそれが本当に有効に機能するかと思うと・・・・後手は本当に不利ですね。
 艦隊同士が対峙し合っている時間が長いようであれば、あれこれ対処方法についてのシミュレーションをすることができます。
 相手を攻撃するためには、まず照準を定めなくてはなりません。ミサイルの射程内に目標があっても、目標を評定できなきゃ撃っても意味はないので、その作業をしなきゃなりません。一般的に、レーダーで照準を合わせて来るでしょう。
 相手方のそうした動きを早めに察知できれば、たとえ攻撃されても防御する時間は稼げると思いますが、それでも相手の使用する兵器の種類によってはリアクションタイムが限りなく短くなります。もし高速で質量のある、つまり運動エネルギーの高い兵器を使われた場合は、既存の防御装置では食い止めきれない場合もあるでしょうね。

運営者 えーと・・・。

芦川 つまりロックオンできる距離まで相手が近づいてきた場合には、いつでも撃たれる可能性があると認識すべきということですよ。これを逆引きすれば、相手が艦艇を派遣することの意味は、すなわち力でコトを解決しようとする意志が含まれていると考えるべきだということにもなります。
 つまり、一般的に軍艦同士がその距離に近づいてきた場合には、相手が同盟軍や友好国でなければ「いつ何時攻撃されてもおかしくない」と想定するわけですよ。

運営者 武士が向こうからくる相手の刀の長さを見切って行動しているのと同じですね。

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