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「国防」について考えてみよう part2

ジャーナリスト 芦川淳 氏

災害派遣時のヘリ・プラットフォームとして

ジャーナリスト
芦川淳 氏   

運営者 「空母」という言葉に反感を感じる人は、その言葉の中の何を問題視しているのでしょうか?

芦川  米軍の巨大空母をイメージさせるんでしょうね。
 アメリカは、「ひとつの国家全体の空軍力に匹敵するような兵力を巨大空母に乗せて押し出していくのが自国を遠くから守るための防衛なんだ」という考え方です。そこでは必要とあらば、先制攻撃も辞さない覚悟です。
 それに対して日本は、目的は先程も言ったようにシーレーン防衛で、土台は専守防衛なんです。無駄を省いて効率を良くするけど、やっていることはこれまでを同じ、というわけですね。

 それからこうしたタイプの艦は使い道がいっぱいあります。例えば地震などの災害派遣の時にヘリコプターがどれほどの能力を発揮するかということは、すでに多くの人が知っているでしょう。DDHには無理やり詰めばヘリを11機積むことができます。これはとても頼りになる。
 「輸送艦のおおすみクラスでもいいじゃないか」という意見もあるでしょうが、おおすみクラスは、ヘリコプターのプラットフォームとしては使えますけど、ヘリコプターの整備補給能力は貧弱なんです。艦の大きさも微妙に小さいので、やはり帯に短し、となってしまうんですね。

運営者 へー。そういうのは素人にはわからないですね。そーだったんですか。

芦川  DDHはヘリを運用するための艦だから、もともとそのような能力を持ってるんです。これが大事なことです。
 だから防衛のための能力も大切だけど、同時に災害派遣に必要とされる能力も、今度のDDHでは注目しておくべきことなんです。

運営者 恐れ入りました。

芦川  これは、税金の有効活用ということで、一番大切なところだと思いますよ。
 「見た目はヘリ空母だ」なんて言われますが、ヘリコプターのプラットフォームなんだから、ヘリ空母でもういいですよ。で、それを自衛隊は初めて持つことになるわけですが、最初のころは散々揉めて、全通甲板にすることすらダメだったんですよ。


16DDH当初案(こんなの空母じゃない!)
 
運営者 なぜですか? 非効率じゃないですか。
 
芦川  ある勢力の人たちが「ヘリ空母」という言葉に反応して攻撃したからですよ。「これは空母じゃないか」と。自衛隊もそれにかなり反応して、いらぬカムフラージュというか、配慮をしちゃったんです。

運営者 機能ではなく、見た目からの評価ですね。

芦川  これまで自衛隊が作ってきた船は、必ず艦橋がセンターライン上に置かれていました。というか、自衛隊の艦艇は基本的に全部そうなのではないでしょうか。

運営者 なるほど。旧日本海軍が持っていた空母のような船は、戦後はなくなってしまったということですね。

芦川  これは事実かどうかわからないのですが、それ以外のフォルムは認められないという別省庁からの制限があったかもしれません。それで輸送艦のおおすみになって初めて、艦橋を甲板の端に寄せたんです。
 ところが、おおすみが建造された頃の16DDHのイメージ図では、それとは関係ないと言わんばかりに艦橋は真ん中に置かれていました。そして飛行甲板はその艦橋の前後に置かれていたんです。

運営者 なんだそりゃ。つまり役所がうるさかったということですね。

芦川  それが本当かどうかはわかりません。でも、おおすみが配備されて評価が固まった頃になると、16DDHのイラストがちゃっかり姿を変えていまの全通甲板になったんです。

運営者 9000トン級のおおすみはステップとして作られたということですか?

芦川  それが海上自衛隊の慎重さなんではないかと(笑)。いらぬ警戒ばかりの。

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これはあくまで呑み話をまとめたものです。

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