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「国防」について考えてみよう part2

ジャーナリスト 芦川淳 氏

戦闘状況ステイタスをデータベース化する

ジャーナリスト
芦川淳 氏   

運営者 わかるけど、情報共有って日本人が一番苦手なことなんです。情報は権力の元なので、できないヤツほど隠したり独占したりしたがりますからね。
 どうやってそれを乗り越えようとしているんですか。

芦川  職人技というのもまさに日本人得意のそれであって、他人がマネをすることができないからこそ職人技なわけじゃないですか。だけど米軍が一生懸命やっているのは、他の人が見たことを、司令部や中間の指揮者がはっきり認識できるようにしようということです。今の戦闘状況ステイタスのデータベース化です。

 とにかくオンラインで、リアルタイムで見られるようにするということだけじゃなくって、今どこでだれが何をしているかを把握できることが一番大切なんです。
 そのために、どうやって見るか(センシング)、それをデータにする経路の確保(ネットワーク)、それらの情報を中央で集積して分析するというデータベース化の技術、さらにそれをどのようにして現場に投げるかというキャストの技術、秘匿性を持たせるための暗号化も大事になってきます。
 このようなネットワークについては、ハードウエアも重要です。どのようにして送受信するのか、練度の低い兵士でも簡単に扱えるようインターフェースも簡単でわかりやすいものにしなければなりません。

 さらに情報のアクセスについても切り分けが必要です。トップから末端の兵士まで同じものが見えている必要はないのですから。もしトップがすべての情報を見ることができるようにしてしまったら、飽和してしまってトップが判断できなくなってしまいます。逆に、一般の兵士に将軍が見るべき情報を与えても・・・。
 だからどのように必要な情報を切り分けるのかというレイヤーの切り方を研究しなければなりません。
 もうこれは1年や2年でできるというようなものではありませんね。アメリカは10年から20年かけて取り組んでいるようです。

運営者 でもこれはシステムの開発と同じようなものですから、どれだけ人と時間を投入するかという問題なんでしょうね。

芦川  そうなんだけど、自衛隊について言うと、ヒトモノカネすべて乏しいですから。
 日本を防御するために必要な人数分は、昔は30万人と推定されていました。それがおよそ半分しかいませんからね。お金についてもさっきお話ししたとおり、国民1人当たりでイギリスの半分ですから。モノについては、正面装備を先に導入しないとまともな防衛ができませんから、後方はすべて後回しになります。研究開発やらネットワークなんていうのは一番後回しですよ。
 やっと今になって正面装備が終わったので、余力ができてきたようなところです。ネットワーク化はやっと今始動したところみたいです。
 陸上自衛隊なんて、よく言えばシンプル、悪く言えばアナログなことをやってるんです。電話で済ませるとかね。あんまり大きな声じゃ言えないけど、無線機の数も足りないし、性能もアレなので、よっぽど私物の携帯電話を使ったほうが早いとか。

運営者 「NASAは数年の月日と莫大な予算をかけて宇宙空間で使えるボールペンを開発した。一方ソ連は、鉛筆を使っていた」というやつですね。

芦川  演習中も携帯電話が活躍するときもあったりして。
 でも、陸上自衛隊の研究本部で進めていた野戦ネットワークがやっと立ち上がったんです。これからハンドヘルドのアップロード機器などの開発も進めて、来年くらいから運用テストを行い始めるようです。今実際に、富士教導団でテストをやっていますが、それが実戦部隊に行くまでには3つも4つもハードルを越えなければなりません。
 OSやネットワークが実際にちゃんと動くのか。インターフェースデザインはOKなのか。その後にどこまで安く抑えることができるのかに取り組んで、さらに教育訓練が必要になります。空自や海自は人が少ないけど、陸自は人が多いから大変です。

運営者 アメリカ軍は、イラクに駐留させる軍隊を訓練するために、ものすごい教育システムをつくってますからね。あんなの日本でできるのかなぁ。

芦川  まあいきなりじゃ無理ですね。でもイラク支援のときには研究本部ががんばってましたね。

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これはあくまで呑み話をまとめたものです。

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