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「国防」について考えてみよう part2

ジャーナリスト 芦川淳 氏

「テロをやっても無駄だよ」といえる抑止能力が必要

ジャーナリスト
芦川淳 氏   

運営者 で、自衛隊はどうなります?

芦川  これまでの自衛隊は、まず航空自衛隊と海上自衛隊が頑張って海からやってくる敵をシャットアウトして、それがだめだったら陸上自衛隊が上陸した敵を防禦するという考え方だったのですが、考えてみたら水際防衛なんだから、上陸されちゃったら、もう終わりなんですよね。なんとか米軍が来るまで持ちこたえるしかないという考え方です。
 それで、冷戦の消滅もあって、こうした戦いになる可能性はかなり低くなった。かわってテロの脅威だの、米軍の再編がある。そこで、陸上自衛隊の装備を軽くして、かつ今までやってきた訓練を活かすことができるという状況が生まれつつあるわけです。テロの脅威がなければ、こうはならなかったかもしれないのですが。

運営者 どういう因果関係があるんですか?

芦川  テロはいつ起きるかわからないので、薄く広く、そして即応できるように防備する必要があるんです。今までは「一対一で敵国と戦う」という考え、つまり正規軍同士の戦い、しかも20世紀に入ってから国家総力戦が普通になった。日本の場合、来るのはソ連を想定していたから「敵が来そうな場所に大きく固い壁を作る」という考え方だったわけです。

運営者 マジノ線を作ろうと。

芦川  でも、テロはいつどこで起きるかわかりません。
 相手が破壊や攻撃をしようとしていることはわかってるんです。首都圏の電力ターミナルを叩くとか、インターネットの大きな相互接続ポイントをたたいて、それをトリガーにして決済機能マヒさせるとか。だけど、いつどこが叩かれるかわからないのに、そのために守備隊を置いて見張っているわけにはいかないじゃないですか。コスト的にも効率的にも不可能。

運営者 コスト的に許されるのは、せいぜいセコムですね。

芦川  となると、テロが起きたらすぐ対処するという対処方法をちゃんと作って、それを公開してしまうんです。それがテロの抑止につながります。「テロをやっても無駄だよ」といえるだけ能力が必要なんです。

運営者 なるほど。

芦川  そうすると、今までの総合火力演習のようにドカンドカン、雨あられのように戦車砲や銃撃を降らせるというやり方は古くなってしまいました。
 だから装備を軽くして早く動けるように変えているわけです。
その中で、今いちばん重視されているのがネットワーク化、情報共有です。

運営者 どういう機能が必要なんですかね?

芦川  どんなに訓練を積んでも最後にできないことがあって、それは、人は自分の目で見たもの以外は見ることができないということです。これを払拭する、いまどこに敵がいて、どこでどのような戦いが行われているのか、こうしたことを目に見えるように共有し合います。

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