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「国防」について考えてみよう part2

ジャーナリスト 芦川淳 氏

「統合運用」のミソは航空移動能力

ジャーナリスト
芦川淳 氏   

芦川  これまでは、陸は陸、海は海・空は空という感じで動いていましたが、これからは単一の指揮官のもとで陸海空が合同に指揮を受けて作戦を運用する場面もあるわけです。そうじゃないと、陸だけで戦うと空からの攻撃には耐えられないし、海から部隊を運ぶ必要があれば、海自は陸自を支援すると。これまではそれを個別プラス個別でやっていましたが、時代は速度と確実性を求めます。そのためには隊長や指揮官がいなければ、話になりません。

運営者 まあ子供が聞いてもわかる話ですよね。民間であればタスクフォースというか、プロジェクトチームというのが、今では当たり前のことになっていますし。

芦川  自衛隊や米軍では、これを統合任務部隊と言っています。有事なら有事の特別な義務のために集められた部隊です。これに加えて、運用面でも空中機動能力、わかりやすく言えばヘリコプターや航空機を使ったスピーディーな輸送が重要視されるようになっています。
 ですから自衛隊全体の流れが、昔の重厚長大なものをすべて捨てて、今はとにかく軽くなってさっと動ける方向へと向かっています。
 ヘリコプターでフル装備の人間をすぐに移動させることができるし、装甲車も大型輸送機で輸送する。もっとも航空自衛隊のでかい輸送機を使っても戦車は重すぎて無理ですけどね。でも米軍なら軽々とやっちゃう。

運営者 アメリカやロシアには戦車が運べる輸送機がありますよね。

芦川  C-17やギャラクシー、アントノフなんかの大型輸送機ですよね。イラク戦争の時、米軍は、アメリカ本土からイラクまで、輸送機を使って戦車をガンガン運びました。大西洋を横切って、50キロおきに戦車を積んだ輸送機の列が並んだなんて言われるほどの勢いでした。これは第一陣の部隊を急速展開させるためで、後続部隊は船で運んだわけです。

運営者 日本はそんなことする必要ないですもんね。

芦川  そうすると、同じような装備体系で、対GDP比の軍事予算が同じ程度の国なんかで比較すると面白い。イギリス、フランス、ドイツなんかがそのグループになりますが、その中で周りが海に囲まれていて、海上補給が大切な国としてはイギリスが目安になります。ただし国民1人当たりの軍事費は、イギリスは日本の2倍をなんですけれど。
 そしてこのイギリス軍も、重厚長大な装備を捨てて軽くなりつつあります。米国とあわせて世界的トレンドを生んでいる感じですね。新型の大型空母導入の話もありますが、これも統合作戦能力を強化する一環と考えることもできます。
 ちょっと前にロシアでチェチェンの武装集団が学校を占拠した事件がありましたが、あの時にも特殊部隊が活躍していました。結局、突入時に犯人の自爆を招いてしまいましたけど。で、もともとロシアはああいうのが発達した国ですが、あのようにすぐに動くことができる装備や部隊の形が重要視されるようになってきています。

運営者 で、自衛隊はどうなります?

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