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「国防」についてプラクティカルに考えてみよう

ジャーナリスト 芦川淳 氏

「徴兵制度の復活」はナンセンス

ジャーナリスト
芦川淳 氏 

 

運営者 即応予備自衛官の一番のメリットって何なんですか。いまひとつよくわからないのですが。

芦川  非常時動員ですね。必要なのは、有事の際の動員数なんですよ。たとえば韓国軍を見たら分かりますが、常備の動員数は10万人ぐらいで、少ないんです。それが非常時には、一気に60万人ぐらいに増やすことができるわけです。南北朝鮮の間に紛争が起きるとすると、地上戦になりますから、人数が命なんです。この場合、どんなに質を高めても数には勝てないんですよ。

運営者 それはね、映画の「ブラックホーク・ダウン」を見てよくわかりました。

芦川  ある程度までは戦力の質で押していくこともできるのですが、あのような飽和攻撃になるとどうしようもないですね。
 だからある程度の人数が必要になってくるので、韓国では皆兵的な兵役制度があるわけです。必ず2年間軍隊に入って、軍隊の仕組みを身につけさせ、さらに予備役としておけばいつでも動員をかけることができるのです。
 アメリカだって基本的に選抜徴兵として、成人は全部を徴兵名簿に乗せますからね、ベトナム戦争が終わった後にいったん止めましたが、カーター政権のときに復活しています。登録しなかったら罰金数万ドルですからね。

運営者 それはすごいなぁ。アメリカ人にとっては大変なことですね。

芦川  もし全動員になったときには、必ず赤紙が来るわけです。
 もしそういう事態になったときのためにわが国でも何かをしておかなければならないのではないかという考え方もありますが、自衛隊としてはあくまでも志願を前提にしているんです。

運営者 日本でも徴兵制度って考えられますかね。

芦川  例えばね、20-25歳の男性全員に皆兵的な徴兵をかけたとすると、日本の国庫は破産しますよ。

運営者 徴兵という制度はもたないわけですね。

芦川  もちません。だって何万人もの人間をタダで食べさせて、給料も払わなきゃいけないんですよ。大変なお金がかかるんですから。だから徴兵制をとろうという人もいますけど、それはそもそも無理な話なんですね。ただでさえ他の国よりも国防費が低いんですから。米国型の選抜徴兵制とか予備役制度なら現実的ではありますが。

運営者 おもしろい。政府が公共事業をやったり、特殊法人を通してむだ遣いをやっていたりした場合には、われわれはもうすぐにピンとくるわけですが、こと軍隊については思考を停止しちゃってるところがあるということがよくわかりますね。考えてみれば当たり前のことなんですけれど、どうも軍隊というのは超経済的な存在のような気がして、コストのことを全然考えてないおかしな傾向があるということに今気がつきました。
 芦川さんは著書の中で装備を紹介して、その横に金額を大きく書かれてましたからね。90式戦車8億5000万円とか。大事なことです。

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これはあくまで呑み話をまとめたものです。

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