「イタリアの自然派」を品揃えにどう位置づけるか
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

「イタリアの自然派」を品揃えにどう位置づけるか


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  ワイン学校で教えていた僕も、マルケなんて考えもしなかったですからね(笑)。
 正統派のワインでは、きれいな果実香が出ていて、酵母を使った華やかな香りをとても体裁よく出すというのは、ちょっと傷んだブドウでもちゃんとしたワインを造る現代醸造学では当たり前のことなんです。それに対して自然派ワインによくあるブドウの直接的な香りというのは、正統派の学者たちには批判的に言われることも少なくない。イタリアの自然派ワインはまだまだ存在感が希薄なんですね。存在すら知られてすらいない。
「イタリアの自然派」を品揃えにどう位置づけるか 単なる有機栽培ではなくて、ブドウの感じをそのまんま出しているワインはなかなかない。その意味で、このクラーラ・マルチェッリの白なんかはブドウがそのまま出ているので、「いろんな自然派ワインを飲みたい」という人にとって新鮮に感じてもらえるんじゃないでしょうか。
 ただしそういうワインを自分の店のメインの売り物にするのは危険なことです。そうではなくて「他の店にはない深さや品揃えがうちの店にはありますよ」とアピールするにはちょうどいいワインです。
 品揃えは、本当に基本的なものだけでいくのか、品揃えを広げてタイプを分けるのか、突き抜けたものをそろえるのかといった3段階で自分の店を考えていくのが普通ですが、突き抜けたものに手を出すとするならばこういったとんがったワインも要チェックです。
 それから、ワインから感じられるエネルギーを見てみると、その素材の持っているエネルギーをワインやラベルから感じることができたので、今後育つのではないのかと思わせる将来有望なワイナリーなんですよね。だからそういうところを先物買いしておくのもおもしろいかもしれません。

TAKEカワムラ 彼はまだ若くて、すごくセンスがいいんです。もともと建築家で、農業もやっているという人です。ラベルも自分でデザインしています。おいしいものも食べてるし、繊細だし、「自分の造るワインはこうあるべきだ」という信念を持っていると思います。

山田  これはフランスもイタリアも共通なのですが、自分の世界の流通の中にどっぷりはまってしまうと、マーケットが見えなくなってしまうんです。例えばフランスの自然派ワインの中のこの部分が好きとか、イタリアのボルゲリの正統派が好きだとか、それからイタリアだとエノロゴ(醸造家)の存在が大きくて、スター・エノロゴが好きだとか。フランスで言うとミシェル・ロランとかフィリップ・パカレとかなんだけど、イタリアはもっとたくさんいるイメージだな。ひとつだけの世界にどっぷりはまってしまうと、市場が広く見えない。

TAKEカワムラ 自然派も正統派もいますよ。

山田  だけど日本で自然派ワインを武器にして小売店や酒屋さんが広げていくのであれば、そのひとつのコップの中にはまってしまないほうがいいだろうというのはすごく感じることなんです。
 というのはコップの中に入ってしまうと、お客さんを限定してしまうことになるから。お客さんも舌が成長していくんです。それに対しての受け皿をある程度持たないと。

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