カッシーナ・カロッサ:「ガンベロ・ロッソ」はこう受賞する
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実



カッシーナ・カロッサ:「ガンベロ・ロッソ」はこう受賞する


川村武彦氏+山田恭路 氏

TAKEカワムラ それから同じピエモンテ州 ロエロにあるのがカッシーナ・カロッサ。ボルドーネのすぐそばにあります。
 オーナーのアンジェロ氏は、11ヘクタールぐらいの畑をほぼ1人でやっていて、畑に行くと手が止まらないタイプの人ですよ。「いかによいブドウをつくるか」に命をかけてます。
 代がわりしたのが今から20年ほど前で、父親の時代は桶売りワインしか作っていなかったし、他の作物も作っていたので、彼は中学校を卒業して以来父親の手伝いをしていて全く満足できなかったそうです。「こんなに一生懸命やっているのに、ワインは全然名前も売れないし、これでいいのかなと」思っていたので、代がわりして最初にやったのが父親の干渉を受けずに好きなようにワインを造るために新しい畑を買うことだったんです。5キロぐらい離れたところにある親せきのおじさんが売りに出した急な斜面にあるネッビオーロの畑を買ったんだけど、父親は車を持っていないので行けないんですよ。彼はそこで思う存分自分の好きなブドウ作りをやったわけです。
 そして造りはじめてほんの数年で、イタリアのワイン品評会の最高の賞「ガンベロ・ロッソ」の3グラスをいきなり受賞しました。アンジェロ氏は「自分は学はないけれど、ブドウとワインのことなら何でも聞け」と言ってましたよ。
カッシーナ・カロッサ:「ガンベロ・ロッソ」はこう受賞する

山田  あの賞はコネ授賞もあるという話だけど、有無を言わさぬ実力だったんでしょうね。

TAKEカワムラ これは僕もあそこに頻繁に行くからわかるのですが、小細工をするような人でもないし、小細工ができるようなワイナリーでもないんです。お金がなかったら小細工はできませんからね。カッシーナ・カロッサはちゃんとした醸造設備を持っているけれど、本当に小規模なワイナリーですから。

山田  エラルド・ヴィヴェルティ氏もそうだけど、ここも認証はとっていないけれど有機栽培です。彼らは有機栽培は当たり前だと思っているから。

TAKEカワムラ ホントにいいものを作ろうと思ったら、「農薬なんかいらない」というところに行きますよ。

山田  そうなんだけど、そういうことを消費者にどうやって伝えるかがわれわれの役目なんですよ。流通業というのは、商品を流すだけではなくて、心を通わせる仕事なんです。ものを流すだけではなくて、こうした情報をつかんできてお客さんに届けないとね。
 僕はよく「ネタ発想」という言い方をするんだけど、ネタというのはそれを聞いたらお客さんが買いたくなるような情報という意味で、これはワインはほんとうは現地に見にいかなければわからないかもしれないけれど、見にいかなくても媒介してあげればいいわけで。だけどそういう情報を「ネタだ」とまず感じる感性がないとね。
 例えばこのカッシーナの場合だと、アンジェロ氏がそれだけ思いの強い人間で、父親が車を運転できない弱みにつけ込んで自分の世界をつくったという強さがあるんだ(笑)とか。認証なんか取っていないけれど、有機栽培は当たり前なんだとか。だから隣の畑を見てみると地面がひび割れていても、アンジェロ氏の畑は草がボーボーに生えているとか。
カッシーナ・カロッサ:「ガンベロ・ロッソ」

b.pnga.png