「ブドウ畑の修道士」の手のひら
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

「ブドウ畑の修道士」の手のひら


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  「おいしいワインを造るコツは」と聞いたら、「俺の手をみろ。これだ」と言って手を突き出すんですよね。汚い手なんだけど(笑)、ポリフェノールの赤の色素が手のひらからとれなくなっちゃってる。

TAKEカワムラ 一緒に畑に行くと、「おれはこう思っている」といろいろ話してくれて、「ワインではなくて人間を伝えているんだ」と言ってましたね。彼は特にそういう傾向が強い人です。
「ブドウ畑の修道士」の手のひら

 夏場の剪定なんか、作業の仕方がハンパではありません。収穫の時にブドウの熟成度をより上げるために、ブドウの房を半分ぐらい切っちゃうんです。ネッビオーロというブドウは房の先に酸度がたまりやすいので、ちょっと手間をかける人の中にはそこだけ切る人はいます。だけど彼はそれだけでは飽き足らず、半分まで切ってしまう。そうすると成長するに従って養分がその残った半分の房に凝縮するんです。おいしさは凝縮しますけど、半分になるわけだから生産量が減ってしまうわけです。だから本来であれば7万本つくれるはずなのに、4万本くらいしかつくれません。

山田  その収穫量の少なさは、ボルドーの5万円とか10万円するワインとほぼ同じでかそれ以下ですね。

TAKEカワムラ それをバローロの中の最高の醸造地域のラモーラでやってるんだから価値があります。
 そこまで手間暇かけているんだから、一本100ユーロしてもおかしくないんです。実際彼と同じ造り方をしている友人の場合は、蔵出し価格は100ユーロです。だから「おまえももっと高く売れ」と勧められるらしいんですけれど、彼は「自分の値段は自分で決める。俺がいいと思ったらそれでいい」と言っているんです。

山田  この蔵元は、小売店で売るにはキャッチコピーがいっぱいあっていいね。「房を半分切る男」とか「独身50歳花嫁募集中、ワインは本物」とかね。

TAKEカワムラ 「ブドウ畑の修道士」ですね。

山田  蔵元の真実の伝えるのが小売店の役目なので、エラルドの人間性をアピールするととてもいい。
 それとこのピエモンテはTAKEカワムラさんの地盤ですよね。

TAKEカワムラ ミラノから近いですから。

山田  本当にいいワインを探すためには、回って見るしかないんです。蔵元に行って初めて造り手のやっていることや人間性が分かるので、それができないと日本にいいワインを持ってくるのは無理でしょう。

TAKEカワムラ ピエモンテに限らず、私はイタリア全域に足を運んで500以上の蔵元を回っています。ピエモンテはその中でも特にひんぱんに来てますね。それで偶然見つけることができたのがピエモンテ州 ロエロのボルドーネです。

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