エラルド・ヴィヴェルティ:「安いバローロ」の理由
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

エラルド・ヴィヴェルティ:「安いバローロ」の理由


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  トスカーナ州 マレンマはボルケリという、スーパータスカンでワインを成金的に作っているところから10キロくらいしか離れていません。ボルゲリはオーパス・ワンみたいにぜいたくの極みで作っているワインですよ。もちろんそうでない蔵元もいますけど。

TAKEカワムラ 名前が先行しちゃってるんですよ。あの辺の人は、今まで作っていたブドウを全部をカベルネやメルロに転換して、自然環境がいいですから、インターナショナル品種のおいしいワインはできるわけです。日本人もそういうワインを買っているわけです。

山田  だからちょっと詳しい人は、マレンマと聞くと「第二のボルケリですよね」なんて言う人もいます。だけどここはそういうマレンマではありません。
 ラチェレータのワインは、「濃くて甘い」タイプではないから、「試飲会で飲んだときにパッと丸をつける」という感じのワインではないんです。媚びていないワインだから。

TAKEカワムラ ほんとに自然ですよね。自然にうまい。
エラルド・ヴィヴェルティ:「安いバローロ」の理由
山田  だから試飲会では見抜けない人もいます。しかし第二段階の食卓の上に乗った時に飲みやすいというのでわかる人もいます。さらに第三段階の五感で感じるというところはぴったりで、その象徴的なワインということができるでしょう。

TAKEカワムラ ラチェレータでは食べるものもほんとに美味しくて、造り手の側も「ワインだけ飲んでもらおう」なんて思っていないわけです。
 中にはほんの1口だけ飲んでおいしいと思わせるような高級ワインを造っている人もいるかもしれませんが、でもイタリアの造り手は自分がまず最初に飲むわけですから、食べながら飲んでおいしいワインをつくろうとします。

山田  ここのワインを持ってきて、うちのスタッフでテイスティングをやったんですよ。皆が絶句したもん。
 身体がピュアな状態かどうかを確かめるリトマス試験紙のようなワインですよ。飲んで感動することができたら「ああ、自分は汚れてないんだな」。感動できなかったら「身体が純じゃないのかも知れないなあ」と(笑)。

TAKEカワムラ その次に行ったのが、ピエモンテ州・バローロの造り手であるエラルド・ヴィヴェルティ。
 オーナーのエラルド・ヴィヴェルティ氏は、5ヘクタールの畑をたったひとりでやっています。まあそれはできないことではないんです。しかし彼の畑に対する情熱はハンパではありません。いかに手間暇をかけておいしい地のワインを作るかを本当に考えて生きている人です。
 バローロでも手間暇かけてつくっている造り手はいっぱいいるんです。そうすると当然コストが上がります。もともと高いワインなのに、蔵出し価格で1万3000円とかするような、日本に入ると4万円になってしまうようなワインになってしまっては意味がありません。
 エラルド・ヴィヴェルティ氏は、「自分の評価は自分でする。おれがいくら手間暇をかけたといっても、おれがいいという値段で売るんだ」と考えている人なんです。

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