真実の自然派ワインは「造り手の血」が畑に入っている
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

真実の自然派ワインは「造り手の血」が畑に入っている


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  それから同じような手法で有機栽培して正しく醸造しても、最終的なワインにはやっぱり差が出ることがある。その違いはどこから出てくるかと言うと、「造り手の血」がブドウ畑に入っているかどうかなんだ。「うまいワインをつくりたい」という造り手の気持ちがなければ、うまいワインなんてとっても作れないんです。
 ここのオーナーのファブリッツィオ・ロッシ氏なんてのは、そうした気持ちがブドウだけではなくて・・・。

真実の自然派ワインは「造り手の血」が畑に入っているTAKEカワムラ そうですね。彼らがいるところは本当に恵まれていて、ブドウだけではなく他の作物もよく育ちます。
 ブドウだけを一生懸命育てても、それは本来の自然の姿ではありませんから。そこに彼らは気づいたわけです。「ブドウだけじゃないんだ。昔のようにいろんな農作物や家畜を育てていたころに戻そう」と考えて実際にやってみると、すべての作物が相互に作用して、それぞれがさらに強くなっていくんです。
 そうするとさらに農薬を使わなくてもすむように、だんだんなって行くんです。こういうことに気づいた人がいまイタリアにはだんだん増えています。イタリアはヨーロッパ一の有機農法の国です。
 面積の割合も大きいし、有機農法で作った農作物の6割は、ヨーロッパ中に輸出しています。そして有機農法ができる一番の条件は、気候条件が良いことなんです。

山田  ロッシ氏はすごく寡黙な人で、最初は嫌われてるのかと思ったんだけど、よく物事を考えてる人なんだね。
 もうひとつ驚いたのは、ワインを造り始めたのはここ5年くらいなんだけど、ブドウ畑は開墾した91年から作っていて、最初から有機農法をやっているというのはここしかない。最初からデメターの認証をとっています。

TAKEカワムラ 認証をとっていても、本物かどうかを見極めるのが重要なんですけどね。
 ロッシ氏は農学を勉強してきた人で、「有機農法よりさらに先にビオディナミというものがあり、これは世の中のためになる」ということを知ったんです。

山田  ワインの売り手にとってみれば、自然派ワインは今とても流行しているけれど、実際にそれがどんなものなのか真偽を確認しなきゃいけません。「商品として自分がどのくらい自然派ワインに重きを置くか」と考えたときに、ただ品揃えしておけばいいのか、重点を置いて看板商品にするのかを決める必要がありますが、もし自分の看板にするのであればきちんと確かめてみなければいけないわけだけど、そういう意味ではここは・・・。

TAKEカワムラ 完璧ですよね。

山田  こんなところがあったのかと。

TAKEカワムラ あとは味筋なんだけど、いくら有機やビオディナミだっておいしくないワインを造っても仕方がない。素晴らしい気候条件でとてもよいブドウがとれたとしてもワインがまずかったら台無しです。
 実は10年くらい前までは、技術的な問題があってイタリアで有機やビオディナミをやっている人たちのワインはあまりうまくなかったんです。しかし最新の醸造技術を用いることと、彼らの「おいしいワインをつくりたい」という気持ちによっておいしいワインが造れるようになりました。

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