チェファリッキオ:100ha丸ごとバリバリの自然派
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実



チェファリッキオ:100ha丸ごとバリバリの自然派


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  でもプーリアなんて誰も行かないし。「プーリア」の名前では売れません。
 そういう中でいくつかの売り方の入口があると思うんだけど、このチェファリッキオの場合はバリバリの自然派であるということですね。

TAKEカワムラ ビオディナミであって、農薬を使わないとか、ワインを発酵させるときに酵母を使わないとかは当たり前なんだけど・・・。

山田  ブドウだけを自然派で作っているわけではないんです。これまでのビオディナミとかビオロジックの概念というのは、「自然派としてブドウをつくるための手法」とワイン業界の人は捉えています。
 でもここは違うんだね。100ヘクタールの中で、ブドウ造っているのはせいぜい20ヘクタールだけ。それ以外のところでは果物を作っていたり、家畜を飼っていたり、それも自然農法でやっている。ブドウはあくまでもその中のひとつに過ぎないという考え方なんです。アメリカのサステイナブル農法のようなもので、「全体をエネルギーが循環している中でブドウがよりよく育つ」という思想なんだけど、これほどの規模でやっているところはフランスでも見たことがない。
チェファリッキオ:100ha丸ごとバリバリの自然派
TAKEカワムラ ここは標高が500メートルあって、朝夕の寒暖差がかなりあります。18世紀に建てられた屋敷でアグリツーリズモをやっています。
 アグリツーリズモは、今はイタリアで農業をやっている人にとって非常に重要な活動なんですけど、別にそれで利益が出るわけではありません。何がしたいのかというと、自分たちがやっている活動をみんなに見てもらって、理解してもらい、今の環境を次の世代にずっと受け継いでいくためにやっているわけです。
 イタリアは、アグリツーリズモやトータルの自然派農法ができる気候風土があるということです。同じことを日本でやろうとしたら、大変なことになりますよ。湿気が多いですから農薬なしだと農産物はできないし。

山田  アグリツーリズモは実際にやってみなきゃわかんないよね。人間の本能に訴えかけるものだと思う。

TAKEカワムラ 「こんなおいしいものはどのようにしてできるのか」とか、「どういうところで造っているのか」とまず思うじゃないですか。そして行ってみて、「ああ、こういうところで造ってるんだ」とか「こんなことやってるんだ」というふうに感じますよね。
 そして次の次のステップくらいになると、「じゃ、おれもやってみようかな」ということになるんじゃないかな。

山田  もう世界的に自然派は大きな流れになってるんだけど、「なんちゃって自然派」も多いんだよね。
 フランスでは去年1年間で有機農法の畑が20%増えています。だけどフランス全体で言うとまだ2%しかない。そして増えた畑というのは、「有機栽培とかビオロジックを謳えば売れるだろう」という皮算用でやってるところが少なくない。
 農薬を3年まかなければ、有機農法の認証は取れますから。だけど農薬をまかないと、雨が降ったらブドウは傷むわけで、その時傷んだブドウを摘むような手を入れなければ、タンクに入れたら雑菌だらけのワインになってしまいます。だから酸化防止剤をいっぱ入れなければならなくなってしまう。それでも有機農法のワインとして流通してしまうわけで、これは明らかにまちがってるよね。

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