電話にすぐ出てくるような造り手はダメ
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

電話にすぐ出てくるような造り手はダメ


川村武彦氏+山田恭路 氏

TAKEカワムラ それと畑ですね。まず電話をしたときに、すぐ出てくるような造り手はダメなんです。時期によっては家にいることもありますが、だいたいお昼ご飯の時じゃないといないという造り手がOKです。
 それで実際に行ってみると、すごく立派な格好をしてる人とか、高級車に乗っている造り手もたまにいます。そういう場合は畑に行って、今の時期にやるべきことをちゃんとやっているかどうか、農薬とか自然に対する考え方、効率と自然とどちらを優先しているか、本来あるべき自然と共存していこうと考えているのかどうかといったことは、話せばすぐわかります。
 ブドウをどう扱うかという造り手の考え方は、最終的にワインを醸造する段階にも反映されますから、それを聞けばだいたい判断できますね。

山田  そういうこともあって、実際に行ってみなけれは、これはわからないなと思って、イタリアに行ってみました。
 第一印象は、「フランスの畑と較べてオリーブが多いなぁ」と(笑)。最初がプーリア州だったんで。(笑)
 キャンティのように一面のブドウ畑があるのではなくて、いろいろな農作物や果物があったのに驚いたわけです。その一部分にブドウ畑があったという感じ。
電話にすぐ出てくるような造り手はダメ
TAKEカワムラ トスカーナはワインが世界的に売れたので、小麦畑などを全部ブドウに作りかえたんです。
 ところが有名でない産地は、小麦畑があって、オリーブがあって、ひまわり畑があって、その隣にブドウ畑があるという感じなんだけど、そっちの方が本来あった姿なんです。

山田  「イタリアはひとくくりにできない」と頭では分かっていても実感した瞬間だったね。農作物もバラバラで、人間もバラバラ。ポリシーも性格もみんな違っていました。それにしてもどうしてあんなにたくさんの個性的な蔵元があるんだろう。

TAKEカワムラ 歴史的にはいろんな国に支配されてきているし、教会も力を及ぼしていたし、今のイタリアの教育を見ても個性を伸ばすことにとても重点が置かれています。「天才の国」ですから。

山田  イタリアは「天才の国」なんだ。

TAKEカワムラ 日本とは光が違うし、子どもの描く絵が全然違うんです。
 それからイタリア半島は南北1000キロ以上あって、高山から低地、湿地、海岸、ありとあらゆる気候があって自然も豊かだしいろいろな作物がとれる。豊富な食材がとれて、村が違えば食べているものが違うというくらいバラエティーに富んでいます。食べているものが違えば、人間も違ってきますよ。だからワインも違うんです。

山田  それで最初に訪問した蔵元が、イタリア半島のかかとの方、プーリア州の州都バーリより50キロほど北に位置するチェファリッキオです。

TAKEカワムラ 普通プーリアのワインというとバーリより南の方が有名ですからね。ただ濃いだけではなくて、ちゃんとした果実味、アロマがしっかりしたワインを生産する地域です。

山田  キャンティとかソアーヴェのような有名なワインであれば、どこの飲食店でも簡単に導入できるけれど、それ以外のワインを扱おうとするとなかなか手が出ないんです。しかしイタリアはさっき話したように非常に細分化されていて、その中にイタリアの真実のワインがある。「イタリアにはおいしいものがある」とわかっていても、ハードルは高い。

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