ワインは身体全体で感じるもの
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

ワインは身体全体で感じるもの


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  しかしそういうイタリアワインを既存の流通に乗せて日本に持ってくるとやっぱり値段が上がちゃう。
 輸入代行業業者、輸入者、一次問屋、二次問屋、小売店ということになるんだけど、うちの場合はそれを一社だけでやってるから、普通であれば7段階くらいある流通が3段階ぐらいに減らせるので、中間マージンが減らせて安く売ることができる、当社はそういう仕組みを作りました。
 値段だけでなくて情報もストレート、ワインもストレート。ストレートに生産者と小売店がつながる仕組みが必要なわけ。頑張る小売店にとってみると、今はネタの時代なわけです。だからネタも産地からストレートに返ってこなければなりません。「これはどういう蔵元で、どういうワインなのか」と問い合わせたら、その日のうちに返事が返ってこなければワインは売れないんですよ。だから中間流通業者が多いとどうにもならないんです。

ワインは身体全体で感じるものTAKEカワムラ それは造り手にとっても同じで、流通の間に不必要な人がいっぱいいると、伝言ゲームになって正しい情報が造り手の側にもうまく伝わらなくなっちゃうんです。
 素晴らしい造り手が望んでいるのは、自分たちの気持ちや思っていることが消費者にそのままちゃんと伝わることなんです。すごくシンプルな人たちですから。商売は商売なんですけれど、本当に自然を相手にしている人は、「この人変だな」と思わせるぐらい熱意があるんです。それが伝わらないと売れるものも売れませんから。
 その間に僕が入っているわけで、彼らは僕のことを信じてくれるし、僕は彼らのことを信じている、造り手は売り手のことを信じている、だから不当に値段は上がらないし、「日本でちゃんと評価してくれているだろう」という、お互いにいい人間関係が今はできています。

山田  そういう造り手の熱意は、インターネットだけじゃ伝わらないんだよ。
 そこで僕自身も、本格的にイタリアの自然派ワインに取り組むためには、行くしかないなと。最後は直感ですから。五感で感じることだから。

TAKEカワムラ 僕もそう思ったから。これはもう、来てもらないとわからないんです。来てもらえさえすれば、僕が言うよりよくわかってもらえるわけですから。

山田  味覚3段階といっているんだけど。第一段階は単なる試飲。でも良し悪しは分かりにくい。ワインをテイスティングするとやっぱり濃かったり甘かったりするワインが目立つんです。
 だけどそのワインが食卓に乗ったときに本当にたくさん飲めるかというと、そうでもないわけです。つまり2段階目はそのワインを自宅に持って帰って、食事を食べながら消費者ののどを通っていくか、つまり「早くなくなるワイン」が消費者に求められているワインなので、結局売れるワインというわけ。だから濃くて甘いワイン=売れるワインではない。観賞用のロバート・パーカー95点というのは別の話で。
 日本でできることは、そこまでなんですね。もちろんそれは大切な段階なのでクリアしなければならないんだけれど、さらにその次の段階に進むと、今言った話は舌先だけで感じているわけです。でもそれだけでは足りなくて、ワインを五感や身体全体で感じるようにしなければ、本当にみんなに受け入れられるワインかどうかの最終的な判断はつきません。舌先で感じて、のどで感じて、「日本でちょっと売ってみようか」というワインを判断するのであればそのレベルで十分なんです。
 だってあるインポーターなんて、適当にサンプルを集めてきて、テイスティングで部長が「これがいいんじゃない」と言ったら、部下が全員「はいわかりました」と言って輸入するワインが決まってたわけだから。だけど僕は、今回はBMOの大きな流れを賭してイタリアワインに進出するわけだから、それではダメなわけですよ。たまたま飲んだサンプルがよかっただけで、それでOKということでは、お話にならないんです。

TAKEカワムラ 経営者としては。

山田  そこで僕が考えなければならないのはワインの造り手の考えていること、ポリシー。造り手のそれまでの経験、どのようなバックグラウンドがあるからこの味を追求しているのか。それからこの造り手は将来成長するのかどうか。今あるワインが素晴らしかったとしても、その造り手が5-20年後に化けてくれるかどうか、そこを見極めないといけないんです。

TAKEカワムラ それは、ワインだけではなくて、造り手のものの考え方などを僕が聞いていればある程度わかります。それを山田さんに伝えるんです。それから技術的には、どういう研さんを積んでいるか、勉強をしているか、どのような蔵元との交流関係があるか、一対一で付き合っていくことができるか、それが人物を見るポイントです。

b.pnga.png