「イタリアワインは気分で売る」
「天才の国」イタリア自然派ワインの真実

「イタリアワインは気分で売る」


川村武彦氏+山田恭路 氏

山田  僕の販売セミナーでは、フランスのワインの売り方はすでに確立されたものがあるんだけど、イタリアワインの場合は、まず最初のお題目は「イタリアは気分で売りましょう」。
 ひとつのワインを目立たせるのではなくて、お客さんの頭の中をイタリアにしてしまうような売場を作るんです。「パスタを作ろう」という気持ちになったら、「では飲み物はワインでしょう」ということです。
 だけどこれまでは、ふつうの小売店ではおいしいイタリアワインはなかなか売っていなかったんです。だからわれわれとしては、そこにいいイタリア自然派ワインを持ってきたいわけ。しかも安いワインを。しかしなかなかそういうイタリアワインには出会えませんでした。
 イタリアワインというのは、だいたい酸味が強くてうまみが少なくて、赤であればタンニンが濃い、果物の味は薄いと思い込んでいる人が多いんだけどそうじゃないワインも探せばあるんです。

TAKEカワムラ そういうところで悩んでいた山田さんから、12年間ミラノに住んで、今まで500軒以上のワイナリーを回っておいしいワインを開拓していたぼくのところにフルーツワインの引き合いがあったんです。イタリアにはそういうものはないんですけれど、スプマンテのおいしいものと、いくつか僕が前から知っていたおいしいワインをサンプルとしてBMOに送ったんです。

「イタリアワインは気分で売る」山田  そのサンプルを飲んで、「イタリアにはまだまだいいワインがあるんだ」ということはわかったんだ。
 一方でユーロ高でどこのインポーターも苦労しているのが現状です。ちょっと評判になったワイナリーはすぐ値上げするし。しかしそういう中で、南イタリアにある協同組合のワイナリーは素晴らしいということがわかったんだ。

TAKEカワムラ 後で紹介するカンティーナ・ヴェノーザとかね。ブドウ農家が100-200軒集まって醸造施設をつくってワインを造っているんです。

山田  フランスの協同組合の場合は、基本的には行き場のない質の低いブドウを集めて、たくさん集まりすぎてタンクに入らない。怒った農家が高速道路にまいてたりしている。これが大問題になっているので、非常に違和感があったんだけど・・・。

TAKEカワムラ つまり協同組合は、キロとかトンで買うんです。それを桶売りしていたわけです。農家としてみればブドウを作れば作るほど売れるわけだから、だんだん質が下がってくる。
 ところがこの15年くらいで、イタリアの協同組合の考え方は変わってきました、イタリアはものすごく地域差がありますから、「その地域の原産葡萄品種を前面に出して造ったワインを売ろう」という動きになってきた。「なら桶売りでは意味がないからボトルに入れて売ろう」という話になってきたんです。
 とはいえ以前と同じブドウを作ってボトルに入れても売れませんから、「ブドウ自体の造り方を変えて、良いブドウつくろう」という流れになってきたわけです。協同組合のほうも熟度が高く優れたもの、それは最終的には良いワインに代わる質の高いブドウということですが、そういうブドウを買うようにして、造り手のモチベーションも上がってきました。そして結果的にいいブドウからおいしいワインができるようになったんです。

山田  フランスの協同組合だと、シャルドネとかメルロとかシラーといったインターナショナルな品種を詰めていくという流れはあるんだけど、品質的に問題があるんだよ。イタリアでは、あちこちでいろんな品種が作られていて、原産地の品種をラベルに表示した個性派ワインが協同組合にあるんだよ。そして質もいい。
 そういうワインだから日本に入ってきても、ユーロ高であっても非常にコストパフォーマンスがいいワインなんです。スーパーや小売店にとってみれば、商品構成のベースをつくることができるワインになるわけです。これがイタリアに出てきたというのは非常に大きいと言えるでしょう。

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