自然派ワインの醸造法が確立されてきた  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏

自然派ワインの醸造法が確立されてきた  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

山田  10年前はやっぱり、造り方もつたなかったんだよ。なぜかというと、酸化させないためには、やっぱり酸化防止剤を入れるのが一番だし、ブドウの病気が出たらやっぱり農薬をまくのが一番だし。それに対して自然なワインを造るにはどうすればよいのかという方法論が確立されていなかったんだ。
 そしてここが大きなポイントなんだけど、昔はそういう病気が発生したらお手上げだったんだよ。だからそういう農民を救うために近代醸造法が発達したわけ。それで農民はすごく楽になった。

運営者 「お手あげ時代」ですな。

山田  だから昔に戻りたくて戻ったんだけれど、最初はやっぱり自然の猛威の前にやられてしまうワイン畑があって、どうしたらいいのか彼らもやっぱりちょっと不安定なところがあったんだ。
自然派ワインの醸造法が確立されてきた 樽ごと全部捨てなければならなかったりとか。あるときは満塁ホームランみたいに澄んだ果実味がでるんだけど、あるときは酸化防止剤を入れてないので、酸化劣敗しちゃってお酢状態になって飲めないという結果になってしまうこともあった。
 そういう時に、ジュール・ショーベさんという救世主的な先生が出てきたんだ。そしてその人は、還元状態と酸化状態のバランスを見たときに、「このタイミングでボトリングすれば酸化劣敗がないんだよ」ということを科学的に解明したんだ。

運営者 なるほどー。

山田  この人はボージョレー村の人で、アメリカに行って自然農法について講演するような人だったんだけれど、彼の教えを直接受けた生産者が方法論を確立していったんだよ。このブドウがこのくらいの還元状態なのであれば、酸化防止剤はこれくらいですむといったことがわかってきたんだ。

運営者 そういうことだったのかあ。

山田  正直言うと、粗いタンニンもきつい酸も、見方を変えると保存剤の役割を果たすんだ。酸が強いということは酢漬けだし、タンニンが強ければタンニン漬けだし、アルコールが強ければアルコール漬けなんだよ。そういったものがどういう状態であろうと、果実をちゃんとワインに投影できるような造り方が、この3~4年で確立されてきたわけ。
 例えばこれなんかマルセル・リショーって人なんだけど、彼なんか典型でね。やっぱり造り手の中でも若い人が目覚めるので、そういう人たちにこの技術を教えてあげているみたいだよ。

運営者 これはもう、ワインのルネサンスですよ。

山田  そう。さすがだね。そういう生産者を集めて、去年の11月にルネサンス・ド・アペラシオン(アペラシオン=生産地)という大イベントが日本で初めて開催されたんだよ。
 彼らの言うルネサンスの意味は、「ワインは産地の表現なんだよ。昔のワインはこういう造り方だったんだよ」ということ。だけど経済的なことも考えなければならないから、少し安定して造れるように技術を発達させつつあるわけ。
 そういう感じで、今、ワイン界は激動の時期にあるね。

運営者 へー、ぜんぜん知らなかったなあ。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏