わたしのワイン第3期「ブドウと対話する」  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏




わたしのワイン第3期「ブドウと対話する」  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

運営者 そういうワイナリーに行って「おっ」と思う出会いの感動があったわけね。そして「ワインは人だ」と見つけたと。その後どうなったの?

山田  その次が第3期に入るんだけど、まあ第1期に追いかけていたような濃厚なワインの中にも、半ば近代醸造法、半ば30年前以前の造り方で造っているようなワインがあったんだよ。そのワインの味筋はムートンやラトゥールを飲む人をも満足させるというものだったんだ。

運営者 ふーん。

わたしのワイン第3期「ブドウと対話する」山田  そこらへんからまた、酸化防止剤を使わないような昔の造り方に戻ったワインという新しい流れが出てきたんだよ。本当に自然を生かしたワインの造り方をする人が出てきたということだね。
 彼らはワインを造るときにブドウに何も足さないし何も引かない。彼らの中にある理念は、「ワインというものはその土地を表す鏡である」という考え方なんだ。フランス語でいうと、「テロワール」という言葉で、その土地ならではの味というものがあるはずだ。なぜかというと、土地によって気候も違うし、微生物だって違うし。昔の人は、正しく太陽とかミネラルとかが入ったブドウ汁を体に取り入れるために発酵させてワインにしているわけで。

運営者 それが昔の人のワインに対する考え方なわけね。

山田  自然と対話してるんだよ。
 それと、70年代に近代醸造法が確立されてきて、80年代に隆盛期を迎えるんだけど、その権化がカリフォルニアだよね。アメリカ人のすごいところは、何でもできるんだけど、何がすごいって、本来ナチュラルなものでも人工的に作れちゃうんだよ。もちろん、それは決して悪いことではない。楽しんでハッピーになれる人が増えるんだから。

運営者 だって、あの国の成り立ち自体がそうだもん。

山田  そうだね。ナパバレーとかオーストラリアとか、開墾してからワイン畑を作り始めると、どんなに頑張っても200年かそこらの歴史がいいところだから、すごくメーカーの数が少ないんだよ。ところがヨーロッパのように3~4000年のワイン造りの歴史を持っていると、代分かれしていくので、すごくメーカーの数が多くなるわけ。

運営者 そういうことがあるのか!

山田  これは誰も言わないけれど、すごく大切なことなんだよ。感謝するべきはナポレオンで、彼がアンシャン・レジームを崩してくれたので、土地を分けなければならないという歴史があった。そこからすでに200年経っているので、フランスのワイン畑はこまかくてわけがわからなくなったけれど、その結果としてすごくいろんな造り手がいるということなんだ。
 そういう中で、「われわれが今造ってるワインは昔のワインとは違う。地球もだんだん温暖化している。そういう中でわれわれはこのままでやっていっていいんだろうか?」という話が出てきて、ブドウと対話するような人が出てくるようになったんだ。
 そして酸化防止剤などを使わずに造るようになった彼らのワインが、今やっと日の目を見るようになってきたわけだよ。

運営者 そうなるまでに10年間かかったわけね。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏