最終的には造り手のパッションが決め手  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏



最終的には造り手のパッションが決め手  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

運営者 見た目は「場末だな」というところで飲んだワインが、「ちょっと待てよ、これは日本で飲むと1万2万のレベルだぞ」と。自分が今まで持っていた常識がそこでひっくり返っちゃったわけね。

山田  そう。それから、たまたま南フランスから入ったんだけれど、出てきたカベルネソーヴィニオンのワインが、「ボルドーで今までテイスティングをしてきた同じ品種のものよりも、一段階グレードが高いな」と感じたわけ。
 ボルドーのはもっと青っぽくて鋭角さがあった。しかしここのは、その角が取れてもっと熟しているし、こなれている。なぜそれがあり得るんだろう。では、この産地のワインがみんなそうなんだろうかと思って、他のワイナリーに行って飲んでみると、滅茶苦茶まずいんだよね。
 なぜそういうことが起こるのだろうかと考えた結果、最終的には畑に原因があるんだなとわかったわけなんだ。

運営者 なるほどねえ。

最終的には造り手のパッションが決め手山田  そして、その畑の差というのはいったいどこから来るのかというと、最終的には造り手のパッションなんだね。そうなると、人間なんだよ。

運営者 そうすると、ワインよりも先に造り手を見ると。

山田  造り手のワインに対する情熱のかけ方が問題だよね。畑に出るときに何をしているかとか、時間をかけて畑に出ているかとか。
 南フランスでも冬は体感温度マイナス5度くらいになるわけ。おいしいワインを造ろうと思ったら2月くらいから大変な作業があるんだよ。それで、ぼくが行ったときに車から外に出ていられる限界時間が5分くらいなんだよね。それを2人でね、7ヘクタールのブドウ畑で朝の7時から日が暮れるまで、ずっとブドウの樹の手入れをしている造り手がいたんだ。
 単に「すごい」と言えばそれまでなんだけど、何でこんなことができるんだろうと思うよね。

運営者 それはどういう動機があるんでしょうかね?

山田  彼らはおのおの個性があって、自分が造ったワインがフランスや外国で飲まれて、その飲んだ人がうれしがってる顔を想像するのだけがうれしいという人もいるし、単純に自分の先祖代々の畑を後世に伝えたいという蔵元も増えてるね。何かわからないけれど、最近地球がおかしいという人も増えてきているよ。
 東京に住んでるよりは、フランスの畑でブドウの樹のとなりに住んでいる人のほうが地球の異変には早く気がつくよ。なぜこんなに暑いのか、なぜこんなに洪水が起こるのかといったことを肌で感じるからね。

運営者 そりゃそうだろうなぁ。

山田  彼らはブドウが語りかけてくれる言葉を聞いているからさ。
 それからさっき言ったように、ここ30年間の近代醸造の造り方で、「畑が本来持っているはずのものがワインに入っていないのはおかしいのではないか」と。「どうやら地球がおかしいというときに、われわれが古来からやっていたやり方に帰るべきではないのか」というパッションを持つ人が非常に増えてきたんだよ。
 たかだかワインといっても、そういったいろんなことを考える造り手がいるので、濃いとか高いとかそういうことだけを見ていたのではダメなんだなということに気がついたのがそのころだね。

運営者 なるほどねえー。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏