名前で飲むか、味で飲むか  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏




名前で飲むか、味で飲むか  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

運営者 ところで、なんでこういう自然農法ワインを発見し、日本に紹介するということを始めたのか、少し過去を振り返って話してもらいたいんだけどね。
 そもそもわれわれは大学の同期で、ヤマキョーは大学時代から食べ物にものすごく凝っていたよね。確か自分で豆腐を作っていて、豆腐を買いに京都まで行ったりしたもんね。それにぼくもついて行ったりして。

山田  そうそう、教室で授業が終わった後、「これから大垣行きに乗って京都に行く」と話をしていたら、「じゃあ俺も行く」って岡本が言って・・・。よく来たよね。

名前で飲むか、味で飲むか運営者 ヒマだったんだよ。それで翌朝京都に着いて、嵯峨野で豆腐を買ったり、六盛の手桶弁当食べたり、錦小路に行ったり。
 まあそんなことをしていたわけですが、ヤマキョーはそれから西武百貨店に入って・・・。

山田  87年だよね。配属されたのが子供服売り場で、これじゃいけないというのでワイン学校に通い始めたんだよ。

運営者 そのころは、まだワインブームなんかが来るはるか昔で、ワインがある店のほうが珍しいくらいで、よくそういういろいろな種類のワインが置いてある店に連れていってくれたね。
 それからすぐにバブルが来て、世の中の人も徐々にワインを飲むようになって・・・。

山田  でも、一番大きなワインブームは98年だったんだよ。
 ぼくがワイン学校で講師をやっていたのは97年くらいまでなんだけど、そのころはシャトー・ムートンとか、シャトー・ラトゥールとか、2~3万円するような有名なワインをいっぱい飲んでいたわけじゃない。30年前のワインとか。
 その当時のよいワインの定義というのははっきりしていて、「濃いワイン」だったんだよ。渋みもすごくて、樽の香りがつき、凝縮されているといったような・・・。

運営者 ぼくもガラでもないのに、テイスティングなんかやらされることがあったよ。
 それもソムリエ協会の会長さんが指導してくださるというんだけど、受講者は4人なのね。それでとってもとっても高いワインを飲ませてくれるんだけど、この枯れた木の感じがどうのこうのなんて言われても、ちっともうまいと思えなくて。こってりしているのならいいんだけど、枯れてるのはぼくにはちょっと・・・。でもそういうワインは高いわけで、ありがたがって飲むしかなかったんだよなぁ。

山田  名前で飲むか、味で飲むかというのがあるよね。だから芸能人が安いワインと高いワインを当てるテレビの番組なんかやってたけど、あんなのは簡単で、単純に味が濃くて甘い感じがすれば高そうに思えるんだよ。つまり3万円のシャトー・マルゴーは目隠しをして飲んではいけなくて、「私は高いワインを飲んでるのよ」と思いながら飲まなければならないということ。
 枯れたようなワインの場合は、味わうのではなくて、年号を飲むんだよ。時間を飲むんです。味わっちゃいけません。
 味覚には絶対基準がないので、その場にいる一番の権力者が「これはうまい」といったものがうまくなるという傾向があるよ。そう考えれば、まずいワインでも、うまい手を使えば生きていくことができる・・・ということになるよね。

運営者 ワインの世界も、そういう仕組みになっているわけね。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏