おいしすぎるワイナリーは叩かれる現状  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏

おいしすぎるワイナリーは叩かれる現状  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

山田  昔ある大手のハム会社の社長が、ドイツに視察旅行に行って、帰ってきて報告役員会で、「君たち知っているか、ソーセージというのは、豚肉だけでもできるんだぞ!」と言ったという笑えない話があったけれど、ワインはやっぱりブドウだけから造るのが本来自然なことだね。酵母は畑の中で育つのがやはり自然なことだし。
 ワインを安定化させる化学物質は30種くらいあると言われていて、それを使うのが良いのか悪いのかと聞かれれば、酸化防止剤がなければワインはできないので当然それは是であるし、他のものもすべて否定してしまうと日本のような気候のところではワイン造りなんかできないし。

運営者 むつかしいもんだねえ。

おいしすぎるワイナリーは叩かれる現状山田  ちなみにこっちは、ロゼ・ダンジュールといって、アンはひとつで、ジュールは日という意味なんだけど、さっきのロゼ・ダンジュだって「ちゃんとつくればうまいんだ」ということをオリヴィエ・クザンが証明したワインなんだ。そのために、貴重な貴腐ブドウまで入れている。甘いワインの場合は、酵母はじめバクテリアがもう一度再発酵するためのエサが糖分なので、どうしても酸化防止剤を入れなきゃいけないんだけど、このワインは酸化防止剤の量も抜群に少ない。
 面白いのはそれからの話で、アンジュとかシャブリとかミュスカデというのは土地の名前でね、それを使えるようになるためには、そこの場所で取れたワインということを証明するために、A.O.Cという公式な認定を受けなければならないことになっているわけ。「A.O.Cロゼ・ダンジュ」と言うわけだけど、オリヴィエ・クザンが造ったこういうワインは、認めてもらえないんだよ。

運営者 それはなぜ?

山田  おいしすぎるからだよ。

運営者 何だそれ?

山田  そこが問題なんだけど、フランスでもこのようなほんとうにおいしいワインを造っているワイナリーはバッシングを受けつつあるんだ。「ただ量が取れればいいや」ということで農薬をたくさん使って作られているブドウは売れなくて、大問題になっている。
 農協が買うんだけど、去年のブドウが全然売れ残っていって、今年の分を買えないという状況になっているんだ。仕方がないから農家は余ったワインを高速道路にまいたりしてるわけでね。

運営者 へー、どこかの県庁が裏金の処理に困っちゃって札束を燃やしたみたいな話ですな。

山田  そういう状況の中で敵視されるのが、オリヴィエ・クザンのような造り手なんだ。
 彼らが造るワインは、ワインが好きな人間の心を思い切り打つので、ものすごく売れてしまう。だから日本に輸入するのもたいへんなんだけれど、ブドウが余っている農家にすれば、「あいつらのは売れているのに、同じ場所でやっているおれたちの方はさっぱり売れないじゃないか。あいつのワインがあるから、おれたちのワインが売れないんだ」という話に話がすり変わってちゃっていくというのは・・・。

運営者 田舎ではありがちなことだよね。

山田  そしてA.O.Cの認定をする人は、大手の農協のトップだったりするわけで、認定は取れないということなんだ。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏