われわが知るワインの味はたかだか30年来のもの  
自然派ワインに首ったけ  山田恭路 氏

われわが知るワインの味はたかだか30年来のもの  [自然派ワインに首ったけ]

BMO株式会社
山田恭路 氏

山田  例えば、このラングロールなんかすごいよ。フランスのタベルというところで造ってるんだけど、酸化防止剤などまったく使っていない。だから飲むと、ワインの味、もっと言うと「ブドウの味ってこうなんだ」ということがわかる。

運営者 そういうことか。
 ・・・だけど逆に言うと、「ひょっとするとわれわれがいままで飲んで来たワインというのは、ホントのワインじゃないかもしれないゾ」という話になっちゃうよね。

山田  つまり、ワインの歴史はよく3000年と言われるけど、ほんとは5~6000年の歴史があって、だけど、農薬や酸化防止剤、人工酵母などを使用する近代醸造法になったのは、たかだかこの30年のことなんだよ。

われわが知るワインの味はたかだか30年来のもの運営者 えーっ、そうなの? じゃ、その前は?

山田  だってその前は、酸化防止剤なんかないんだから。
 このワイナリーがやっていることは、最先端の醸造法といわれてるんだけど、彼がやっているのは、彼のおじいさんやひいじいさんがやっていたことなんだ。だから村の古老がこのワインを飲むと、「昔ながらの味がする」と言うんだ。だけど昔の造り方にはやっぱり雑なところもあったので、それを今の技術を入れて、昔の味を保ちながら美しくつくっているということなんです。

運営者 だからおいしいということなんだね。

山田  たとえばこの赤ワインなんか、タンニンがかなり多いんだけど渋くない。

運営者 どういうこと? そういうことあるわけ?

山田  タンニンは渋みの成分で、口に入れると収斂性があると言われているけれど、本当は違っていて、収斂性のきついタンニンというのは畑で十分熟していないブドウから造っている場合なんだよ。
 バナナでも、トマトでもキュウリでも、畑で熟したものはおいしいけれど、まだ青いうちに取ってきて、店に並べているものはうまくないでしょう。それとおんなじで、ブドウが木になっているうちにタンニン成分が完熟したブドウで造れば、口の中で溶けてしまうので、タンニンがあるんだけどキツイ渋味は感じないわけ。

運営者 ほー、なるほどねえ。

山田  じゃあ、なぜワイナリーが農薬や酸化防止剤を取り入れたかというと、その一番のきっかけになったのは、税理士だったんだ。

運営者 はあ???

山田  70年代に、ワイナリーの経営は非常に厳しくなったなんだよ。それで税理士が入ってきて、P/LとB/Sを分析したんだ。
 そうすると固定費がとても高い。人件費だよね。それで税理士が、「なぜこんなに人件費がかかっているんですか?」と尋ねるから、「それは草むしりとか剪定とか、人手がかかるんですよ」と。そうすると税理士が「そんなもの農薬を使えばいいじゃないですか」とすすめたわけ。

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自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏

自然派ワインに首ったけ 山田恭路 氏