バイオリンを見ろ



運営者 そのクレモナのバイオリン博物館に行くと、すごい長い階段があって、そこを息を切らしながら上っていくと人が座っているわけです。それでチケットを見せると、鍵を開けてくれて、一緒に中に入ってまた閉めるんです。それで警備の人が2人部屋の中に入って、こちらがバイオリンを眺めてるのを監視してるわけですよ。宝石みたいなもんだから。
 だから、バイオリンが10本ぐらいつるしてある部屋の中に、私と警備員の2人がいて、何とも言えない気まずい時間が流れていくわけですね。
 そんなんで「バイオリンを見ろ」と言われてもねぇ。

飯坂  それはそれで、また貴重な体験なのでは。それだけコストをかけて警備するということは、盗む奴がいるということですね。

ジオットジオット運営者 どちらかというと、あほらしいですよね。まあ、その町にとっては数少ない観光資源ですから。
 ところが面白いことに、現在の資本主義につながっているのはルターではなくてカルビンだと思うんですね。カルビンは音楽を禁止してるんですよ。禁欲的ですよね。
 それと、バッハの家というのにも行きましたよ。これもさっきのルターが聖書を翻訳したというヴァルトブルク城のふもとにあるんです。バッハはルターが聖書を翻訳した町で生まれたんです。

飯坂  バッハは近代音楽の始祖ですからね。

運営者 ええ。バッハの家では、200年以上前のオルガンとかチェンバロとか、ハープシコードとかが保存してあって、それを見事に演奏して聞かせてくれるんです。これは貴重でしたね。

 で、そういう宗教改革の流れがあり、ピューリタンが出て資本主義につながり、また啓蒙思想にもつながっていくわけです。
 話を元に戻して、なぜイタリアからドイツという順番で回ったかというと、そういう形でギリシャローマの文明がゲルマンの地に伝わり、1000年後にルネサンスが起こってその流れが再びアルプスを越えてドイツに伝わったわけで・・・。

飯坂  イタリアからフランスに行った流れもありますよね。

運営者 そう思います。でもそちらはぼくはチェックしてないのであまりわからないんです。16世紀のイタリア戦争をしかけたフランソワ1世なんてのは、それですよね。イタリアに攻め込んでいって、イタリア文化に惚れ込んでしまう。レオナルド・ダ・ビンチを手元に置くわけですから。
 イタリアは、軍事力も経済力もなくて、ドイツに支配されていたけれど、文化的にはドイツに勝っていたわけで、それはローマ帝国とギリシャの関係に似てるかもしれません。

 宗教改革というのは何なのか、ルネサンスとは何なのか、それがどのように伝わっていったのかということを考えたかったというのが今回の旅のテーマだったんです。それでその順序で周りたいというのがありましたね。あとはオペラの日程が、その順序の方が都合がよかったということがありますけど。 

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