HOME > 代表取締役名誉相談役 > 地球温暖化・気候変動問題 欺瞞の本質 > 各人の環境対策コスト負担額を踏まえた議論を行う必要がある

各人の環境対策コスト負担額を踏まえた議論を行う必要がある

手塚宏之 代表取締役名誉相談役

ピクチャ 5.pngサンタンジェロ橋

手塚 地球環境問題が最初からかなり粘着性の問題であるのは、環境問題なのか、エネルギーに絡んだ生活水準の問題なのかを切り離して考えているからです。そして環境問題を標榜する人たちは、意図的なのか、それとも偶然なのかはわからないけど、エネルギー問題の方を無視する傾向があります。

運営者 彼らは、「環境を汚すことは人類にとって恐るべき罪なのである。神はお怒りである」という言い方のほうが都合がいいんでしょうね。

手塚 それによって起こってくるリパーカッションとして、米国人が買い物に大きな車で行って2週間分の食料を買いだめしてばかでかい冷蔵庫に入れておくという生活は、このままでいくとできなくなるんだ、ということについては黙ってるんです。
 物事の一面だけしか伝えていません。行きすぎた環境対策によって起きる結果の話をしていないんです。

運営者 相手がかかわっている問題について半真実しか伝えない姿勢は、不誠実であり、それこそ「悪」です。

手塚 しかしそれに乗せられている人は多い。人間の知的なレベルが行き過ぎたために、原罪意識に囚われていて、「有限の資源は子孫に残さなければならないのだから」という意識はみんな強く持っています。しかしこれから行う環境対策によって現在の自分がどの程度のコストを払わなければならないのか、何を我慢しなければならないのかということがリンクされないままに議論が続いているのが現状です。
 これはやはり、環境対策のコストを各人がどの程度払うことになるのかをリンクさせて議論を行う必要があると思います。
 CO2が地球温暖化に関係があるのかその因果関係は分からないものの、自分が今の便利な生活のどの部分をあきらめれば、ひょっとしたら自分の子孫に緑の豊かな地球を残すことができるのかもしれないということに、実際どのくらいのコストを払ってもいいのかということです。 
 本来民主主義的では、そういうアジェンダセッティングを行う必要があるのですが、それは世界中のどの国もやっていません。「環境対策はいいことだ、エコな生活をしましょう、明るい未来のグリーンな生活環境・・・」といった精神論ばかりです。

運営者 それはそうでしょう。本当にCO2が温暖化の原因かどうかも分からないのに、その根拠のない「たられば」話を、「なんとなくそうじゃないのかな」という雰囲気の上に理屈を組み立てて、「じゃあ地球環境対策を行いましょう」とコストを無視して感覚的に言っているだけなんですから。そんな話が成り立つほうがおかしいですよ。

手塚 確実に破たんすることが見えている年金問題の解決にすら、なんのコンセンサスの形成もできていません。しかし年金問題や消費税問題はコストが見えているから、みんな躊躇しているという側面がありますよね。
 一方で地球環境問題は、「たられば」話でしかないのですが、コストが見えていないから人が正面から反対しないわけです。しかし本当はこの問題のほうが年金問題よりも根が深い問題だと私は思います。なぜなら「いくらかかるのか、本当に効果があるのかどうかさっぱりわからないけれど、将来世代のためにあなたは今の自分を犠牲にしますか?」ということを問いかけているのが環境問題だからです。
 先ほどお話ししたように、気候変動問題そのものが本当に深刻なのか、人為的に制御できるのかどうかすら、諸説紛々の中で・・です。

運営者 僕の最初からの立場というのは、「資源の浪費が地球環境の悪化や気象の変化にどのくらい結び付いているのかさっぱりわからないよ」と。「多少節約をすることによって環境が良くなるわけでも、悪くなるわけでもないだろう」と。「その根拠のないことを議論しても無駄だろう」というものなんですけどね。

手塚 さっき言ったように、全ヨーロッパ27カ国が必死になってCO2排出量を10%削減したとしても中国の2週間分のCO2排出量でしかないわけですからね。
 中国やインドは経済成長を止めることも化石燃料の使用をやめることもないでしょう。そうすると、日本はヨーロッパよりもはるかに小さいわけですから、たった4%の排出シェアしかない日本が90年比25%削減を達成しようがどうしようが、たとえCO2排出量ゼロにしようが、つまり日本人全員がこの世からいなくなったとしても、CO2排出が温暖化の根本原因だったとしたら、地球温暖化問題は全く解決しないということです。残された人たちも大変だ・・・ということです。

運営者 地球環境問題については、僕はやっぱり「万犬虚に吠ゆ」というイメージを拭うことはできませんね。
 このハートウェルペーパーは「実はエネルギー問題」というこの問題の本質を明らかにし、みんなが満足できる解決策の道筋を指し示している、非常に優れた知恵の結晶だと思いますよ。

手塚 まあみなさん時間があったらじっくり読んでみてください。ヨーロッパの碩学の文章はちょっと格調高くて読みづらいかもしれませんけどね。英語も格調高くて翻訳するのに一苦労でした。
 でもこの論文はあまりにも欧米の知識人や政策関係者の間で反響を呼んだので、続編の執筆の計画も出ています。もちろん日本も貢献することになります。

運営者 それって面白そうだけどどんな内容になるんすか?

手塚 それはまだ営業上の秘密です。来年またワイン3本あけながらお話ししましょう。


前へ


「人間力」とは

p1.jpg
人間力★ラボ
sign.jpg