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超党派で取り組める対策「ザ・ハートウェルペーパー」

手塚宏之 代表取締役名誉相談役

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運営者 それで次は、手塚さんも作成に参加した「ザ・ハートウェルペーパー」(The Hartwell paper)【http://eprints.lse.ac.uk/27939/3/The_HartwellPaper_Japanese_translation.pdf】について伺いたいんですよ。14人の環境専門家の意見を、LSEとオックスフォードの先生が取りまとめたということですが。

手塚 僕も一応共同執筆者の一人なんだけど、ここに書いてあるのはね、結局のところ今日ずっと話してきたように、原罪意識に駆られているヨーロッパとアメリカの先生たちが、「京都議定書のように政治のトップダウンで人類が「こうあるべきだ」ということを決めるのは不遜である」と考えたということですよ。原罪意識を捨てるわけですから「神は死んだ」と宣言したようなものです。

運営者 ほう、彼らもやっとわれわれの所まで上ってきましたな(笑)。で、何でそんなことに気がついたんですかね?

手塚 主筆の一人のプリンズ教授はLSEだからケインズの末裔だし、もともとアフリカのコミュニティ研究をやっていた人類学者なんだよ。あとオックスフォードのレイナー教授は軍縮交渉など国際交渉の構造の研究をやっていた。
 彼らは、「今の地球環境問題の枠組みづくりは、核ミサイル軍縮交渉と同じやり方だよね。CO2を削減しなければならないとなったら、先進国の中で各国が「オマエは何%削減しろ」とお互いに指を差しながら交渉している。そうやって先進国がケンカしながら京都議定書を作ったのに、現在ではCO2排出量は途上国の方がはるかに伸びてしまっている。つまり軍縮交渉の枠の外で排出量が伸びているんだから、そんなのやっても仕方がないじゃないか」ということに気づいたからですよ。

運営者 そこからスタートしたということですね。

手塚 「しかも最大の核保有国=排出国であるアメリカは京都議定書を比準しなかったし、成長著しい中国もインドも入っていない。ヨーロッパと日本だけで核軍縮やっても全く意味がないじゃないか」と。じゃあアメリカも中国もインドも加わって削減義務を課すような核軍縮協定ができるかというとできっこない。
 そもそも国連の場ではCO2削減という一種の軍縮協定に、地球温暖化だけじゃなくて南北問題、人口問題、エネルギー問題、貧困問題など、国連が抱える難問を全部押し付けて、いっぺんに解決しようとしている・・・そんな交渉はそもそも合意にたどりつくことはありえないと結論づけているわけです。
 さらにそもそも何のために国際会議をやっているかという目的についても、「民主主義の体制において国民が本当に地球環境保全のためにコストを負担したいと思っているのかどうか」を、政治は各国の国民に問うていないわけです。「環境にいいんだからやりますよね」ということだけは国民に対して言っています。
 でも「その代わりに生活費が年間数万円上がります」ということは言っていません。

運営者 なるほど、さすがにマニフェストの国だから。彼らのマニフェストはどこかの国のものと違って、必ず財源の裏付けが必要とされますからね。

手塚 だから、現在の地球温暖化政策は非常に不幸な枠組みでできてしまっているわけです。この問題が本当に人類が直面していて解決しなければならない問題なのであれば、長期的にサステイナブルで、どんな政権になったとしても「これをやっていてよかったね」と受け入れられるようなものでなければなりません。
 つまり超党派で納得して取り組めるものにするしかないわけです。

運営者 そういう文化にする必要がありますねぇ。



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