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キャップ&トレードは「統制経済」でしかない

手塚宏之 代表取締役名誉相談役

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運営者 それで、地球環境温暖化対策というのは、CO2削減に実際にどのくらいの意味があるのかよくわからないままに、さまざまな思想や利害を持つ世界中の人を政治的に巻き込んであさっての方向に進みつつ、国際的な枠組みづくりが模索されていることはよくわかりました。
 とはいえ私としても「資源を有効に使うことは悪いことではない」と思っていますから、環境対策というのはどのようなやり方をするのが一番合理的なのでしょうか。その方向性を教えてください。

手塚 ノー・リグレット・ストラテジーしかありません。

運営者 なんですかノー・リグレット・ストラテジーというのは?

手塚 さっきお話ししたように太陽光発電を進めるというのは、今ある石油のようなエネルギーよりも高価なエネルギーを強制的に使わせようとしているわけですから、実質的にオイルショックを人為的に起こそうとしているに等しいものでしかありません。そこにはやはり無理があります。ヨーロッパのようにこれを民主政権下で進めると、生活必需品であるエネルギー価格高騰が政治によって引き起こされたことに気付いた有権者の反発を招き、いずれは政権がひっくり返る可能性すらあるでしょう。
 そういった無理筋の政策ではなくて、だれもが得をする、経済的にもメリットのある対策を積み上げていくというのがノー・リグレット・ストラテジーです。「後悔しない戦略」とでも訳しましょうか。

運営者 排出権取引についてはどうなんですか?

手塚 排出権取引というのは、欧州で数年前から実際に導入しているキャップ&トレード制度なのですが、あれはキリスト教における免罪符と同じですから。
 キャップ&トレードのように産業界に対して排出上限を割り当てて「あなたはこれ以上CO2を排出する生産活動を行ってはならない。続けるのであれば罰金を払え」というような政策も、クラウス大統領が言っている通り統制経済以外の何者でもありません。

運営者 ドイツ人に売りつけた免罪符のおかげでサンピエトロ大聖堂ができたんですけど、そういうのが排出権取引でできますかね?

手塚 排出権取引市場は欧州中心にすでに年間取引額12兆円になっています。この排出権市場っていうのが大聖堂みたいなものでしょうね・・・壮大なバブルという意味で。
 ところで国際的に流通している排出権の80%程度は中国が供給しています。例えばメタンや代替フロンといったCO2よりはるかに温暖化効果のある物質を減らすということは、1トン減らすだけでCO2換算で20万ドルくらいの価値があるわけです。
 中国は内陸部で牛の糞やゲップに入っているメタンを処分して、それを排出権として先進国に売りつけています。

運営者 そんなの、ただの悪質な詐欺じゃないですか。

手塚 中国はたいしてエアコンも売れないのに、そのエアコン向け代替フロンを大量に作ったうえで分解処理して、その分も先進国に排出権として売っています。排出権が高く売れるものだから必要もない代替フロンを意図的に大量に作って、それを破棄することで排出権を作っているっていわれています。
 自分たちがわざわざ温暖化ガスの代替フロン生産という罪をたくさん犯すことによって、先進国向けに免罪符を作って売っているようなものです。先進国は京都議定書によって国ごとの排出キャップがはまってしまっているので、罪を犯すことができません・・ていうか、免罪符を買わないといけません。でも中国は途上国だからいくら罪を犯してもいいんです。

運営者 連中のやりそうなことです。そもそも排出権取引という考え方自体に欠陥があるから利用されているだけですよ。

手塚 ヨーロッパの人たちもそれには気がついていて、さすがに「彼らのやり方はおかしい」、中国の免罪符は買わないようにしようという動きが出てきています。

運営者 大丈夫ですよ、中国の隣に間抜けな金持ちがいますから。
 そういうくだらないことは、すぐにやめにするべきですよ。


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