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環境対策のコストに初めて直面したドイツ国民

手塚宏之 代表取締役名誉相談役

ペーター2.JPGペーター教会

運営者 私は、そういう環境至上主義者の言っていることはかなりまゆつばだと思っているんですけどね。どこに問題があるんでしょうかね?

手塚 彼らが言っていないことは何かというと、そうした再生可能エネルギーは、石油に比べてコストが非常に高いということです。

運営者 当たり前ですよね、そんなもん。

手塚 再生可能エネルギーが高い証拠は、そもそも政策的なバックアップがなければ、自然には普及していかないということですよ。
 だから「これは何より大切な環境にいいんだからやるべきである」という価値観を押し付けるか、「税金で補助金をつけるからやれば儲かるよ」と、導入しようという人に他人のお金、あるいは税金でインセンティブを付けることによって初めて普及するものなわけです。

運営者 私にとってはどっちも魅力がないですけどね。

手塚 とにかくドイツでは、金持ちほど風力発電や太陽光発電の装置を導入したわけです。だって、導入すれば10年以上、普通の電気代の倍以上の高値で、発電した電気を電力会社が買い上げてくれるんですから、確実に儲かる投資なんですね。
 でもいよいよ再生可能エネルギーがドイツ全土で普及してきて、ここにきてわかってきた問題が、装置がどんどん普及すれば電力会社はそこから発生した電力を向こう20年とか高く買い上げなければならない義務を負っているわけですから、そのエキストラコストについては消費者に転嫁するわけです。つまり金持ちが投資した太陽光発電による利益は、高い電力を買わされることになる一般消費者の財布から払われるという制度なわけです。

運営者 つまりドイツでは電気代が上がってしまったと?

手塚 2010年あたりから、ドイツでは電気代が高騰し始めました。それによって初めてドイツ国民は気がついたんです。
 「何でこんなに電気代が高くなったのか?」「いやそれは、皆さんが選んだ政権が導入した再生可能エネルギーの固定価格買取制度の結果、むこう20年間は電気代が高くなるんです、すみませんそういうことになっちゃってるんです。でもその結果CO2は削減できますよ」と・・・

運営者 バカじゃないのか(笑)。

手塚 つまりここに来て初めて、CO2削減をやるということは、通常の経済活動に対してエキストラコストがかかるんだということが一般国民にも発覚したわけです。ほぼ同じ問題がスペインやイギリスでも起きています。ヨーロッパの報道なんかみていると2011年に入ってから、再生可能エネルギー導入によるエネルギーコスト急上昇を批判する記事が目立ち始めています。
 実は民主的に選ばれた政権の人たちが、他のエネルギーよりもコストの高いエネルギーに全国家的にシフトするということは、皮肉なことに政治的に自らオイルショックを起こしてるのと同じことですよ。

運営者 背任的なことです。

手塚 人為的にオイルショックと同じことをやっているのに、表面的には「これは環境にいいことなんですよ」とか、「エネルギー安全保障上意味のあることなんですよ」と言ってやっていて、しかも有権者が払わされるコストについては、政策導入後しばらくたってから請求書が回ってきたということです。

運営者 さすがハメルンの笛吹き男の本場だなあ。自殺してるようにしか見えないんですけど。ポピュリズムの悪い面が出てますね。

手塚 自爆テロみたいなものですよね。だからこの政策はサステイナブルとは言えないと思います。これから急速に社会の揺り戻しが起きるのではないかと思います。
 しかしながら、日本の現政権は、そのポピュリズムに完全に乗ってしまっていて、回周遅れで同じような制度を日本でも導入しようとしている。



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