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「対アメリカ優位」を画策するEUの計算

手塚宏之 代表取締役名誉相談役

IMG_5287.JPGシュテファン聖堂

手塚 そもそも製造業の生産活動から出るCO2の量よりも、家庭などから排出されるCO2の量の方が多いんですよ。排出されるCO2の半分以上は生活、物流、サービス分野からなんです。
 ではこれを現政権が言っているように90年の25%に削減するということになると、実は今は90年比で5%以上排出が増えていますから、これから30%以上減らさないといけないことになっちゃう。
 そうすると国民全員が1日8時間以上エアコンや冷蔵庫を止めるとか、どんな寒冷地の独居老人の家でも1日8時間以上は暖房を止めて下さいということになってしまいます。はたしてそれでいいんでしょうかね?

運営者 つまりこういうことですね、地球環境問題というわれわれにとっての大きな脅威は、ある意味作られたものであるという側面が見えてきたということです。少なくともCO2が気候変動を起こしている原因であるかどうかについては証明がなされていない。ひょっとしたら、CO2の増加は温暖化と直接関係がないのかもしれないという可能性がある。
 しかしながら現在、産業界のみならず一般家庭に対しても、CO2の排出量を削減させるような圧力が働きつつある。エコな生活、エコな社会っていうやつですね。
 その流れは、世界的にはどのようになっているのかについて説明してもらえますか?

手塚 温暖化対策としてのCO2削減、つまりエコな生活のコストという点については、世界的にはほとんどまだ政策関係者などプロの世界でしか議論されていなくて、一般の人たちがこの問題に認識を持ち始めたのは、ようやく最近になってヨーロッパにおいてというのが最初だと思います。

運営者 何が起きているんですか?

手塚 電気代が急騰しているということです。ですがその問題の前にヨーロッパのエコ社会の背景について考えてみましょう。
 さっきの話に少し戻りますが、このエネルギー多消費というものを悪とすることによって、ヨーロッパは相対的にみればアメリカより優位に立つことができるのです。
 なぜなら、アメリカという国はエネルギー多消費をもって成立している国だからです。ネバダの砂漠に人工都市を作ったり、ロサンゼルスの砂漠に木を植えたりできるのは、すべて石油や天然ガスといった安価なエネルギーがあるからです。アメリカ合衆国があれだけの巨大な帝国を維持できているのは、安価で豊富なエネルギーが使えるからです。
 しかしヨーロッパはある意味日本に近くて、パリなどに行けば分かりますが、みんな都市にひしめき合って暮らしています。わりとコンパクトシティをやっているので、エネルギー効率的には悪くない。だからエネルギー消費の抑制という問題が世界的なアジェンダとなれば、ヨーロッパはアメリカをリードすることができるということは、おそらく欧州の戦略家たちは考えていると思います。

運営者 いかにも。

手塚 だからヨーロッパは、「地球温暖化の原因はエネルギー多消費の結果としてのCO2排出であって、CO2の排出量は下げなければならない。化石燃料に依存するのはいけないことだ」と環境原理主義の科学者たちが80年代に言い始めて、そこに先ほどからお話しした宗教的、社会的価値観的ドグマなど、もろもろの理由から利害を持った人たちが相乗りした。そうやって作られたトレンドの上に、さらにエネルギーセキュリティーの問題が乗っかってくるんです。
 実はドイツやイギリスは元々石炭経済の工業立国でした。

運営者 シュレジエン地方やらマンチェスターに炭鉱がありましたね。

手塚 ところが石炭は固体燃料なので、効率が悪いんです。アメリカは石炭経済から石油経済に一早く替わりました。さらに効率が良いのは天然ガスなんですけどね。そうした安価で使いやすい流体の化石燃料が戦後のアメリカの経済・社会の発展を支えてきたことは間違いありません。



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