人間力ラボ [講演] 人間力メールマガジンサンプル


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「人間力」101本勝負メールマガジン

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豊臣秀吉の壁普請 チーム全体のやる気を引き出す、四〇〇年以上前に実行された素晴らしいテクニック

【人間力レベル☆☆】

 今川軍の侵攻が近い清洲城の百間の壁が、いつまでたっても修復できない。「なぜ二〇日もかけて修復できないんだ!」と怒る織田信長に、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)は「自分なら三日でできます」と申し出た。

 藤吉郎は、百間を50に区分し、二間ごとの責任者を決めて高賃金で請け負わせ、おのおのに大工3名、左官2名、石工5名、雑役夫10名を配置した。四〜五組にひとり、棟梁を配置し、人手不足にならないように目配りさせた。賞金もかけた。

 そして藤吉郎は、朝いちばんに石の上に立って采配し、進軍太鼓で仕事を開始させ、休憩時間になっても休まない者がいると、「休め」と命じた。夕方になると、酒肴を用意して飲み放題にし、自分も酌をして回ったので、人夫たちの志気が上がった。
 しかし、棟梁たちは藤吉郎が人夫の機嫌を取るのがおもしろくない。藤吉郎は棟梁たちを別室に呼んで、「壁が完成する前に今川に攻め込まれたらわれわれはおしまいだ。お前たちの家族も財産もだいなしになるぞ」と、天下の情勢を語って棟梁たちを諭した。棟梁たちは恵まれた暮らしをしていたので、この話に震え上がった。

 翌日から、棟梁のかけ声で人夫たちは一斉に仕事を始め、日が暮れても働き詰めに働いて三日後には壁を完成させた。
 信長は壁を検分し見事にできあがっていたので藤吉郎を足軽頭に取り立てた。この工事は彼の出世のきっかけとなった。

 大勢に指示する場合は、人によって利害や興味分野が違うので、相手によって受け容れられやすい働きかけ方や、説得材料を選択して使う必要がある。
 豊臣秀吉は、人夫に対しては相手の自尊心に訴えかけ、棟梁たちに対しては、「君たちは人夫とは違うんだよ」と理解を示し彼らの利害についてねばり強く理詰めで説得する、相手に応じて働きかけ方を変える統率力を持っていたのである。(参考/『統率』大橋武夫より)

 
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松下幸之助の腰の低さ  リーダーは頭を低くして社員の能力を引き出す

【人間力レベル☆☆】

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉があるが、偉くなる人ほど不思議と腰が低くなるものである。

 ある夫婦が新幹線に乗っていると、斜め前の席に松下幸之助が座っているのに気がついた。旦那さんは「あっ、松下さんだ。話しかけてみたいなあ」と言ったのだが、奥さんは、「やめときなさいよ。あんな偉い人があなたとお話しするはずがないじゃないですか」と押しとどめた。それでも夫が「一言だけでもしゃべりたいなぁ」とブツブツ言っているのを聞いて奥さんは、「じゃあみかんを買って、それを差し上げるのを話のきっかけにしたらどうかしら」と提案した。早速旦那さんはみかんを買って幸之助のところに持っていき、「いかがですか」と手渡した。幸之助は一瞬びっくりした顔をしたのだが、うれしそうにありがとうと受け取って、その場で皮をむいて食べ始めた。
 そして幸之助は京都で下車する前にこの夫婦の席に来て、「先程はありがとう。おいしかったですよ」と頭を下げた。このご夫婦はその幸之助の振る舞いにいたく感動したのだが、その後ホームに降り立った幸之助は、その夫婦の乗っている座席の窓のところに来てさらにお辞儀をし、新幹線が動き出すまで夫婦を見送ったのである。旦那さんは涙が出るほど感激し、家に帰るとさっそく電気屋さんを呼んで、電球の一個に至るまですべてナショナル製品に替えさせたという。

 幸之助はPHP研究所の江口克彦社長にこう言ったそうだ。
 「小さい会社の経営者であれば率先垂範して部下の人に命令しながらやることも必要だけど、これが百人とか千人とかになれば、それではあかんね。心の底にこうしてくださいというような心持ちがないとあかん。これがさらに一万人、二万人となれば、どうぞ頼みますという心根に立たんとだめやな。けど、もっと大きくなると、部下に対して手を合わせて拝むという思いがないと、いかんということや」

 平成元年4月27日、松下幸之助は亡くなった。死の直前、幸之助は声帯が委縮して声が出なくなっていたので、のどにたまったたんをチューブで吸引する必要があった。その際、主治医である松下記念病院の院長が、「これからチューブを入れます、ご辛抱ください」と幸之助に語りかけた。そのとき幸之助は力を振り絞って弱々しい声でこう応えたそうだ。「いやいや、お願いするのはわたしです」。これが松下幸之助の最後の言葉であった。
 すぐれた人間力を持つリーダーは、腰が低く、だれでも自分と対等な人間だという意識を持っているものである。

 
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曹操「梅を望んで渇きを止む」  人は自分の欲しいものを手に入れるために働く動物である

【人間力レベル☆☆】

 デール・カーネギーは、「人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ」と書いている。
 これは三国志の時代の話。魏の曹操は大軍を移動させていた。しかし移動の途中、まだ目的地がはるかというところで水がなくなってしまった。軍隊にとって水の欠乏は全体の士気を挫けさせてしまうたいへんな問題である。案の定、兵士たちはのどの渇きを訴え、ただ休むことだけを考えて前に進む気持ちをなくしてしまった。曹操は士気の低下を看取って、兵士たちに前方を指さしながら大声で呼びかけた。

 「みんな、もうしばらく行くとかなり大きな梅林がある。今の季節だと、梅には酸っぱい実がいっぱいなっているはずだ。それでのどの渇きを癒すことができるぞ」
 この声を聞いてみんな口の中に唾がわき、苦しい行軍を続けることができた。魏の大軍はしばらくして川にたどり着き、みな思う存分水を飲めたのだった。「梅を望んで渇きを止む」という故事である。曹操がすごいのは、「むこうに川がある」と言っても、今の喉の渇きはいえないが、「梅がある」と言われれば唾がわいてきて「よし、前進して梅林まで行こう」という気持ちになることだ。たんに目の前に「水」というにんじんをぶら下げただけでないのが、人の心を知り尽くした大将の力量だろう。
 曹操は「相手の望みをかなえる方法を教えてやれば人は動く」という人間の本性を知り、実践していたのである。
 
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ANAビジネスクラスのVIP客

【人間力レベル☆☆】

 たとえ自分が仕事としてサービスをする立場にない場合でも、人間力のある人は「進んで他人を助けよう」という気持ちを常に持っているものだ。

 全日空国際線のあるフライトアテンダントは、いつも不思議に思っていることがあると言う。それはビジネスクラスのお客さまの食事についてである。
 たとえばある便のビジネスクラスに80人お客さまが乗っていて、日本食は60食、ステーキとシーフードを40食ずつ載せていた。ところが、最初の50人に聞いたら、みんなが「日本食をください」と答えることがある。このままでいくと、確実に日本食が足りなくなる。さて、そんなときどうするか……。

 マニュアルでは、エコノミークラスからアップグレードした人や、初めてビジネスクラスに乗ったお客さまから順番に、「申し訳ありません、先程日本食とうかがったのですが、ちょっと今日は切らせておりまして、お肉ではいかがでしょうか?」、あるいは「今日の鯛のソテーはとってもおいしいんですけど」といった感じでお客さまの注文を変えていただくことになっている。
 しかし初めて乗った人やアップグレードした人は、だいたい食事の変更は拒否するものなのだそうだ。おそらく会社であまり認められていなかったり、家庭で肩身の狭い思いをしていたりするので、「せめてこういう場では自分を認めてほしい」と思っているのだろう。食べたいものを食べられないと、自分が拒否されたような気持ちになってしまう。だから「僕は和食がいいと言ったんだよ!」と頑として譲らないのである。

 あと10人のお客さまの中で「肉でもいいよ」といってくれる人が5人いなければどうにもならないという状況に追い詰められ、アテンダントたちは汗をかきながらお客さまの説得にあたっている。そういうときに、「キミキミ、和食の数が足りないの?」と声をかけてくれるのは、まちがいなくVIP客なのだそうだ。いつもはファーストクラスに乗るのだけど、たまたま今回だけビジネスクラスに乗っているとか、ダイヤモンドメンバーで年間何万マイルも乗っているような、全日空にとっての上客である。
 航空会社のマニュアルにはそうしたVIP客に対しては、「絶対に食事の変更は頼むな」と書かれているし、アテンダントたちもVIP客に気づかれないように声をひそめて他のお客さまに食事の変更を頼んでいるわけだが、よりにもよってどうしても聞かれてはならないその本人から、「僕さっき日本食って頼んだけど、別にステーキでもいいよ」と言ってくれるのだそうだ。そういう人が一便に2、3人いて最後の2、3個がちょうどそれに当てはまって、それでだいたい救われるケースが少なくないらしい。

 VIP客は、航空会社にとっては絶対逃したくない客なので、食事の変更を頼まれることはありえないにもかかわらず、その場の状況を察して、「これは何かまずいことが起こっているんだな」と関知する能力を持っている。彼らは、自分の娘のような年の若いアテンダントが怪しいオヤジたちを相手に「申し訳ございません」と頭を下げているのを見て、何かしらの居心地の悪さを感じて、「ちょっとちょっと」と助け船を出してやるわけだ。
 またVIP客になるような人は自分自身をコントロールしているので、ストレスを感じることがない。だから、アテンダントに当たり散らすような見苦しい姿を見せることもないのである。

 出世する人は、自分に直接関係のない範囲のことまで常にアンテナを延ばして察知し、困っている人がいれば自然に助けようとするサービス志向性を身につけている。


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