HOME > メルマガ > キスカ撤退作戦で五〇〇〇人の命を救った木村少将

キスカ撤退作戦で5000人の命を救った木村少将
「人間力」エピソード集

red.gif

キスカ撤退作戦で五〇〇〇人の命を救った木村少将


 あなたは目的達成のためには、自分自身を捨て去ることができるだろうか。「恥ずかしい」とか、「こんなことをしたら人にどう思われるだろう」などと、くずぐずして大事を誤ってはバカバカしい。目的達成のために、世間の非難を柳に風と受け流して、多くの人命を救った人間力のエピソードがある。この話は三船敏郎主演で映画化されている。

 一九四二年六月、日本軍は山本長官の発案でアリューシャン列島を占領した。だが四三年五月、アメリカ軍はアリューシャン列島のアッツ島を攻撃し二七〇〇名の日本軍守備隊が全滅した。このとき初めて「玉砕」という言葉が使用された。
 このアッツ島よりもアメリカ寄りにあったキスカ島には五六〇〇名の日本兵が駐屯していたが、一挙に孤立することになってしまう。そこで大本営はキスカ島撤収作戦を行うこととなった。まず潜水艦での輸送を試みたが、一度に輸送できる人数があまりにも少ないことや、アメリカ軍が対潜哨戒を始めたために潜水艦での徹収はむずかしくなってしまった。そこで次に、第五艦隊の第一水雷戦隊による一挙撤退作戦を敢行することとした。参加するのは、二隻の軽巡洋艦以下の一六隻。指揮官は木村昌福少将。この人は海軍兵学校の卒業成績一一八人中の第一〇七位という秀才でも何でもない人だった。

 この地域は濃霧が発生するので、その濃霧の合間を縫ってキスカ湾に突入するのである。これに対してアメリカ軍は戦艦二隻以下三〇隻の大艦隊で、しかもレーダーを持っているので濃霧の中でも日本軍を捕捉することができる。日本軍がキスカ島に近づくためには無線を封鎖して、濃霧の中を前の船の航跡を目標にしながらそろそろと近づいていかなければならない。まさに至難の作戦である。

 七月七日、木村艦隊は北海道の基地から出撃し濃霧発生のチャンスを待つが、一五日になっても天気は晴れたままで突入のチャンスはこない。燃料が底をつき木村少将は作戦を中止して一八日に北海道の基地に帰投してしまう。木村司令官がなにもせずに帰ってきたことを知った人々は「一水戦に胆なし」と口々に非難した。
 意気地なしというのは軍人にとっては最大の辱めであり、到底黙って耐えられない言葉だが、木村少将は、「帰ればもう一度来ることができるではないか」と非難を気にもとめなかったという。もし司令官が「よしわかった、そんなに言うなら俺の勇気を見せてやる」と頑張って、晴れた日に無謀な突入を行っていたならば、たちまち戦力的に優勢なアメリカ軍の猛攻撃にあって、突入艦隊も守備隊も全滅していただろう。木村少将は目的達成を第一とし、自分が非難されようと柳に風と受け流して、もっとも大切な人命を守ったのである。

 三度目の出撃に必要な燃料はないし、八月に入ると晴天が続くと予想されたので、木村少将は最後のワンチャンスにかけた。七月二二日、木村艦隊は再び出港し、濃霧の中、味方の船を見失うなど苦労しながら、徐々にキスカ島に近づいていった。
 一方アメリカ軍はこの直前、濃霧の中のレーダー探知で日本艦隊を発見したと誤認し、見当違いの方向に三〇分間一斉射撃を行ったのであるが、これは弾薬を無駄にしただけだった。彼らは燃料と弾薬を補給するために引き揚げていった。その間に霧がきれいに晴れたので、木村艦隊は二七日キスカ湾に突入し、たった一時間で五〇〇〇人以上の守備隊の収容を終えた。キスカ湾から艦隊が出ると同時に濃霧が発生し、木村艦隊はアメリカ軍に発見されることなく全艦全速力で北海道の基地に駆け戻ったのである。

 その三日後から二週間、アメリカ軍はキスカ島に向けて徹底した艦砲射撃を行い、八月一五日に三万四〇〇〇人の大部隊が必死の思いでこの無人の島に上陸した。このときアメリカ軍は同士討ちで死者二五名、負傷者三一名を出したものの、島にいたのは犬二匹だけであった。撤退した日本軍は「ペスト患者収容所」と書いた看板を残して行ったのでアメリカ軍はパニックに陥り、大量のワクチンを本国に発注したが、これは日本軍軍医のいたずらであった。
 五〇〇〇人の命を救った木村少将は、戦後山口の田舎で製塩業をして暮らしていたが、彼が有名な提督であったということは周囲の人もほとんど知らなかったという。それどころかこのキスカ撤退作戦の顛末が出版されて一番驚いたのは家族だったそうだ。木村は家族にも何も話していなかったからだ。

 キスカ島撤退作戦の成功要因は、木村少将の、「目的達成のためには自分を殺す」という生き方にあった。

red.gif


b.pnga.png

人間力とは、「大人になること」と見つけたり













人間力★ラボ人間力★ラボ
人間力★ラボ

人間力営業人間力営業
人間力営業

“オープンソース型ビジネスマン”の生きる道 目次オープンソース型ビジネスマンの生きる道


Better habits 社員研修 ビジネスマナー研修 新人研修

人間力ラボ 「人間力」とは相手の心に働きかけて、人を動かす力のこと