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意表をつく一言で不安を鎮めた大山巌   「人間力」エピソード集

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自己相対化力はリーダーに必須の能力


 司馬遼太郎が『坂の上の雲』に以下のような話を書いている。
 大正時代の話。ある晩、大臣経験者たちが談笑していた。そのとき話頭が「日本の指導者の中で、人物が大きいと言えば、誰になるだろうか」という話に向いた。
 ある者は、「陸軍大臣をやった大山巌は、とにかく器が大きかった。彼が最大だろう」と人物観を披露した。
 すると別の者が、「いやいや、大山巌の従兄弟で同じく陸軍大臣を務めた西郷従道は、大山の五倍は人間が大きかったね」。
 それを聞いて一同は「そのとおりだ」とうなずき合ったが、それにかぶせてある者が言った。
 「しかしその従道も、兄の西郷隆盛と比べれば、月の前の小さな星のようなものだったな」
 この言葉に一同、気が遠くなるような思いを持ったという。
 その大山巌は日露戦争のとき、満州軍総司令官として最前線にあった。日本陸軍は辛勝を重ねてロシア軍をじりじりと追いつめていた。だが一九〇四年一〇月、それまで押されていたロシア軍が反攻し、それを迎撃する形で沙河会戦が始まった。
 近代的軍備を始めてから日もない日本軍が、大ロシア帝国と闘うのである。勝利の確信のある者など一人もいなかった。みな深刻な顔をして浮き足立ち、走り回っていた。司令部の中は騒然としていた。
 そのとき、昼寝から目を覚まして、のこのこ起き出してきた大山巌が、殺伐とした帷幕の中でのんびりと問いかけた。
 「今日もどこかで戦(いくさ)がごわすか?」
 その瞬間、将官や参謀たちの緊張はゆるみ、司令部の中に明るさが戻ってきた。
 満州軍総司令官の大山が沙河会戦の戦況を知らなかったはずはない。彼が戦いのありなしをたずねたのは、戦場においてはあってはならない指導部の動揺を鎮めるためであったろう。国を背負って大国ロシアと相まみえる気概を持っているつもりの男たちに、正面から意見しても逆効果だ。
 そこで彼は、自分が暗愚を演じることで、戦いへの恐怖を相対化し、指導部全体を覆う不安と、勝利への疑懼を払拭したのである。
 大山巌は、敢えて自分を貶めること(自己相対化)で人の心にを動かす力を持っていたのである。

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人間力とは、「大人になること」と見つけたり













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